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96.ビールも喉を通らない ページ25
ガタンッ！
「わっ！ビックリした！
大丈夫？Aちゃん？？」
"アイコ"
見知らぬ女の人の名前に
思わず持っていたビールジョッキをカウンターに落としてしまった。
「ごめんなさい…。」
「ビール入ってなかったし。
割れなくて良かったね。」
「どーした？A？」
こっちが訊きたい。
どーした、私？
なに動揺してんのよ？
サトチだってイイ大人だよ？
女の人の一人や二人…いや、一人にしとこ。
つまり彼女がいたっておかしく無いでしょ？
なにを今更…
チラッとサトチの顔を覗くと
フニャッと笑って「どした？」って訊かれる。
こっちが訊きたい。
誰？
アイコって。
「あ、Aちゃん、ビールおかわりだよね？
おじさ…
「い、いいっ！
いらないよ！」
「え？」
「あ…もう、お腹いっぱいなの。
ごめんなさい。」
「あはっ！謝ることないよ。」
ダメだ！
動揺を隠しきれない！
わー、もう、なにこれ？なにこれ？
サトチの女の影に動揺して
ビールも喉を通らないとか…。
おまけに相葉さんに変な態度取っちゃった。
ほんっと…調子狂う。
「で、アイコの話だっけ？」
ハッとする。
サトチの口から"アイコ"の名前が出た。
私は干物だからアレだけど
サトチが女の子を名前を呼び捨てにしてるなんて
初めて聞いた。
ドクッ…
ドクッ……
心臓が妙なリズムを打ち始める。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年6月5日 0時
