74.恋しちゃったんだ、多分 ページ3
「はぁぁぁ…。」
頭の毛をグシャグシャと掻き乱し
大きなため息を吐く。
あらら。
その鳥の巣頭、イケメンが台無しよ。
なーんて言える空気じゃないの。
なんか、こう…
オモチャを取り上げられた子供のような。
もとい。
Tバックを取り上げられた翔くんのような。
そんな雰囲気だから。
「あれホントなの？」
Tバックを取り上げられたような翔くんが重い口を開いた。
「アレって？」
「婚約者って話。」
「まさか！エイプリルフール！」
全力で否定する。
けど、しまった！
そういう設定だった！
「だろうな。
下手な嘘つきやがって。」
「翔くん、お願い！
デビッドには婚約者って言っといて！
せっかくまとまった商談がパァになったら私、
あの社長に何されるか…！」
ああっ
できるできる容易に想像できる！
.
"なぁーにバラしてくれちゃってんの？
クビにされたくなければ
パンツ頭に被って出勤してこいや！"
.
ぶるるっ！
想像しただけでゲスすぎて震えるわ。
お願いお願い言わないでぇーー！
手をスリスリさせてお願いする。
「分かった黙っててやるよ。」
「しょおくぅんっっ…(感激)」
「でも、教えて。
なんで口紅取れてんの？」
「うっ…！」
「それに首筋になんか紅いの付いてんだけど？」
「ううっ…！！」
「妙に浮かれて帰ってきたし…
まさか、お前…恋とか、してないよな？」
「……。」
恋…
その言葉に
さっきのサトチの笑顔が
帰り道に感じた背中の熱が
蘇る。
「エイプリルフール、だよな？」
その問いには首を縦に振ることが出来ず
「おやすみ翔くん！！！」
顔が赤くなっていくのが自分でも分かったから
慌てて自分の部屋に逃げ込んだ。
.
やだっ！
嘘でしょ！？
胸がドキドキしてる。
サトチを思い出して
胸ドキの赤面してる。
私、恋しちゃったんだ。
サトチに恋しちゃったんだ！！
干物女、恋したってよ！！！
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年6月5日 0時
