91.油断 ページ20
相葉さんを弄って
ひぃひぃ笑いながら車を降りた社長。
「じゃあ、まぁ気をつけて。
相葉氏よろしくね？」
「はーい、任せて。
ニノもあまり無理しないようにね！」
「はいはい、相葉氏は俺のお母さんだもんな。」
「はははっ！
秘書で雑魚キャラでお母さんで
俺忙しい！」
笑い合う2人はホントに仲良さげ。
てか相葉さん優しいな。
社長が相葉さんに気を許してるのもわかる気がする。
「桐島A、じゃあね。」
「はい、お先に失礼します。
あ、あとパンプス…ありがとうございました。」
お礼を言った私に
「どういたしましてー。」って軽〜く返して
手をヒラヒラさせた。
と、思ったら。
「あー…忘れ物。」
何か思い出したかのようにつぶやき
私のいる後部座席のドアを開けて
また強引に私の首を自分の方へ捻る。
再び、ぐぃぃぃぃっと。
だから、痛いんだっ…
て…！？
怒ろうとした私の口から
ちゅぱっと高めの音が聞こえた。
一瞬よ、ほんの一瞬。
また奪われた。
キス魔の社長に。
唇を。
「じゃあね、A。」
社長は満足そうに微笑みながら
手をヒラヒラ振ってさっさとビルの中へ消えていった。
うぐぅー！
油断した！！
「あっはは！見ぃーちゃった☆」
ルームミラー越しに笑ってる相葉さんと目が合う。
茶化す暇あるなら止めてよ！
って。
あ、そっか。
この人は社長の手下だもんな。
北斗の拳の雑魚キャラだもんな。
「見物料いただきますよ？」
「ちょ、ええええ！？」
「世の中タダより怖いものはござらんよ？」
ラオウの手下め。
少し意地悪言ってやろ。
「あー…じゃあさ。
今からご飯でも行かない？
俺、奢るよ！」
なぬっ！？
奢りだとっ！？
つまり、タダ酒！！
「行く行く行く行く行く！！！」
結局ビールで簡単に釣られちゃう私。
細い目で見ていた目を
キラリーンと輝かせて尻尾を振れば
「ニノには秘密だよー！」
って。
相葉さんはニカッと笑って
ハンドルを握った。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年6月5日 0時
