89.再び、本気 ページ18
「ほら、立って。」
半ば強引に立たされると
高い高いヒールのおかげで
綺麗な脚のラインができる。
「これでいいよな？」
洗練されたデザインに
足元がパッと華やかになる。
ちっくしょー♡
やっぱり女子の憧れレッドソール。
文句のつけようがない。
あああああ、お母さん！
靴だけは良いものを履けと言ってるマイマザーよ、
今、私の足元には世の女性たちを虜にしてる
あのレッドソールがいるよ。
悪魔の罠だけど。
そう。
これは悪魔の罠。
禁断の果実。
その誘惑に負け
手にとってしまったら最後。
この悪い社長の奴 隷と化すに決まってる！！！
ぶるる！！
面舵いっぱーい！
方向修正よーし！
危ないところだったわ！
「その手には乗らないですぞ！ほほほ！」
「なんだよ？その手って？」
「高い靴を買い与えたからって
私を思い通りに出来ると思ったら大間違いですからねー！」
ドヤ！
言ってやった！
「…んなこと思ってないわ。
はっ…、なにそれ？
心外だわ。」
ん、あらら？
予想外な反応。
「じゃあなんでこんなに高い物をくれるんです？」
「狙ってる女にアプローチしたいからでしょ。」
えーーーと、
あーーーと、
んーーーーと、
待って！
何の話！？
「狙い撃ちしてる女！？
て、誰のこと！？」
「お前のことだよ。」
「ああ、ズキューンバキューン！！って
撃ち殺す気ですか？
ああははのはー。」
「"本気"。」
おっと。
「…昨日は無理やり押し倒してごめんね。」
「……。」
"本気"の
謝罪と瞳に
さすがの私もふざけて返すことなんて出来なくて
どうしていいか分からず黙り込む。
「顔赤らめてないで
何か言いなさいよ。」
「えっ！？顔…えぇ！？」
おまけにすぐ顔に出るみたいで。
干物女はこういう時
どう対処していいか分かんないのよ！
「ま、そこが可愛い…
なんて思っちゃってますけどね。」
「…！」
社長なんて大嫌いなはずなのに。
しかもこんなベタな口説き文句に
悪い気がしないどころか
キュンッてしちゃった！！
単純か、私の心臓！！
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年6月5日 0時
