干物女、恋愛するってよ。3 (ページ14)

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85.トランプページ14

「あの子のこと考えてたんだろ？」

その言葉にピクリと反応。

「…うぃ。」

「単なるヤキモチよ。
同じ仕事仲間が、しかも同期が。
栄転しちゃって。」

「栄転？
今回の人事は私にとって栄転でもなんでもございませんが？
それにトリンドルはそんな子じゃないです。
私のことをいつも自分のことのように考えてくれて。
顔が良ければ性格も良い。
それがトリンドル！」

「ふーん、仲良いのね。
でもさ、会社は仲良しクラブじゃないの。
和気藹々とした雰囲気の職場はもちろん悪くない。
ただ、その裏で同期よりも先に上にあがろうという意欲とか失敗して負けた時の悔しさをバネに頑張るとか。
そういう向上心のある社員がいるのが経営者としては望ましいことだけどね。
あの子はそういうタイプの子でいいと思いますけど？」

「…。」

ふぅぅーーーーんだ！

社長はトリンドルのことを分かってないんだ。
そんな子じゃない。

トリンドルは
そんな野心家なんかじゃ…。

「拗ねんなやー。」

「拗ねてないですー。
そもそも社長が悪い！
変な人事押し付けてきて。
あ、この辞令書はお返しします。」

「これを自ら社長に返すヤツはじめて見た。」

ぶはっ！と吹き出す。
それから辞令書をクシャクシャにして車中にポーン。
足元に転がる。

え？
やった！
辞令は無かったことに？

ぱぁっと顔を上げると…

うげ！！

社長は悪そうな顔してニンマリ。
内ポケットからトランプを取り出した。

なに？
ババ抜きでもするの？