82.モヤモヤ ページ11
その後も
私はありすちゃんの教育係をしていた。
「で、文具系の備品はここにあるから。
現場の人が取りに来たらこの備品管理台帳に記入してもらってね。」
「さっきの大野さんみたいにですかー？」
また出た大野さん。
さっきからことある毎に
大野さん、大野さん、大野さん。
まったく、Oh〜NO!だよ。
「そう、だね。
サトチ…大野さんも例外なく書いてもらってねー。」
「"サトチ"って呼んでるんですね？
お二人ってどういうご関係なんですか？」
「関係って…単なる職場の仲間だけど。」
「ホントですか？
それなら私、
大野さんのこと狙っても良いんですよね？」
「……。」
モヤっ…
モヤモヤ…
狙ってもいいですかって…
知らんよ。
そりゃ、
この子がサトチのことを狙うのは勝手だけど。
おかしいな？すっごくモヤモヤする。
「い、いいんじゃない？
私には関係ないよ。ふははははー」
それなのに
私の口から出る言葉はとっても天邪鬼だ。
ていうか、デーモン閣下。
それに「狙わないで」なんて言える立場じゃ無いし。
そもそも「狙っていいよ」って言うのもおかしくない？
そんなこと私に訊かないでよ。
ああっ
なんだろ？すんごくモやってる。
「はーい。
私語はそこまで。
A、昨日の棚卸伝票の処理してくれない？
てことで、ありすちゃんは私が教えるよ。」
「トリンドル…」
目が合うとパチッとウインクをするトリンドル。
きっと困り果ててた私を見兼ねて
割って入ってきてくれたんだ。
さすが！
持つべきものは同期っ！！
トリンドルがトリンドルに見える！！
よーっし。
助けられた分、モリモリ仕事してやんよ！
ってな感じに
気合い十分で自分の椅子に座った途端…
バァンッ！！！
事務所のドアが壊れる勢いで開いた。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年6月5日 0時
