干物女、恋愛するってよ。3 (ページ2)

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73.なで肩そしてなで肩ページ2

ピッタリと
くっつけられた身体。

ちょっと、これ
端から見たらカップルじゃない？

イケメンと干物女の不釣り合いカップル。
なにこれ？公開処刑？

「翔くん、離して。」

「無理ー。
しばらく人間ホッカイロでいて。
身体が冷えてヤバイ。」

ああ。
そういう使い方ね、私の。

「それなら自分の部屋に入れば？」

「ずっと待ってたのに何？その言い草。」

「あー、じゃあウチ来る？
ビールくらい出すよ。」

「……。」

急に黙るから
私よりだいぶ背の高い翔くんを見上げると
元々大きな目をこれでもかってくらい見開いてる。

いつもたかってる私がビール出すのが珍しい？
あ、急にビール出すのが惜しくなったな。

「やっぱ自分ち帰る？」

「あ、いや…
つかお前さぁ、
この冷え切った身体にビールって…。
コンポタとかねぇの？」

「あ、あるある。お湯入れるタイプのやつね。」

「んじゃあ、お言葉に甘えてお邪魔する。」

私の部屋に入るってなったら
あっさりと干物ホッカイロを捨て部屋が開くのを待つお隣のイケメン。

1メートル横に自分の部屋あるんだから
帰ればいいじゃんよ。
とか思いながら開錠すると
さっきのサトチに叱られたことを思い出す。

"Aは男の部屋にひょいひょい上がり込みすぎ！"

やっば、それって逆も然り！

「わー！ウソウソ！
エイプリルフール！」

「はぁ！？」

オトコを・うちに・入れるな！

「あのね、サトチがね…」

「誰だよサトチ？」

「開発部のサトチ。
翔くんもそのうち会うことになると思うよ。
今回のプロジェクトのメンバーだから。」

「ふーん、覚えておくわ。サトチな。
で、そのサトチがなに？」

「うん、そのサトチが男の家に上がり込みすぎって。だからうちにも上げられない。」

「はぁ？お前そんなに男の家に行ってんの？
まさか、今もその帰り？」

そんなに行ってないんだけどなー。
その帰りなのは確かだもんなー。

「えーーーと、うん。」

「マッジかよ…、あいつんち？」

あいつって、あいつだよねー。
社長のあいつだよねー。

「えーーーと、うん。」

「はぁぁぁぁ…。」

正直に話したら
なで肩がもっとなで肩になった。