干物女、恋愛するってよ。2 (ページ31)

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66.パトロンの正体ページ31

「もう止めろって。」

ロープを解いてくれる優男サトチと
プンスコ社長を交互に見ながらサトチに訊く。

「え？サトチ…ホントに社長の従兄弟なの？」

「そうだけど？」

そうなの？

いやいや生活水準が違いすぎやしない？

片や高級高層マンションの最上階。
まばゆいまでの夜景を独り占めできるこの部屋と

暗くてジメっとしてて、
今にもGが出てきそうな陰気臭いあの部屋。
あ、ごめんサトチ。軽くディスって。

で？
この差はどうしたのよ？

頭の上にたくさん疑問符を浮かべる私の心の中を見透かしたのか、サトチは軽く笑って言う。

「あー。
ビンボー生活は好きでやってるって
前にも言ったでしょ？」

「うん、欲しいものを買うためにって。」

「そうそう。」

「俺はねあんなとこに住むなって言ってんのよ。
うちの会社がろくな賃金与えてないみたいに見えるから。
てか、この人けっこー貰ってんだからね。」

「確かに結構貰ってる。」

「それなのにまともなスーツも買わないから
俺のお古あげたり
いらないブランド品あげたりね。
してるわけよ。」

「あ。
この前のボールペン、Aにあげた。」

「はぁ？
お前ってやつは人の好意を！」

あーー…

そうだったんだ。

サトチのパトロンの正体って
社長だったんだ。

てっきり
お金持ちマダムの
可愛い飼い猫ちゃんをしてるのかと思ってたから…

そっかー。

そっか、そっか♪

ん？

なんだろ？

胸の奥底で

ホッとしているのは。