59.テイクアウト ページ24
「ナニアレ？」
怖ーい笑顔の社長は
質問と共にタバコに火を点けて
煙をぷはーーーっと私めがけて吐き出す。
ゲホゲホ！
けむッ！
「何って…何ですか？」
「櫻田くんだっけ？
なーに、アイツ？
いけすかねぇ野郎だったな！」
「違う違う。
櫻井さんちの翔くんですよ。
感じ悪かったですか？」
「うん！
すんげぇ感じ悪い！
知ってる？
アイツ、俺らのチュー、食い入るように見てたよ。
ありゃ、ムッツリだな。」
「そうそう、翔くんはムッツリ…
あ！それ！！
あの時、急にキスしてきた！！」
「あ、コーフンした？」
「してない！！
てか、何してくれるんですか！？」
「あーゆーのイイよね？
人前でバレないようにイチャつくの。」
「全然！
てか、若干一名にバレてますから。」
「今後もさ会社ではバレないように
上手いことイチャつこうな？」
「だから！私は…
…て、なに？」
「だから、
会社でも社員の目を盗んで
あーんなことや、こーんなこと
しような？っつってんの。」
「なに言ってんの？
終わり終わり。
会食も終わったことだし
恋人契約はこれで満了。
私はしがない社員に戻るだけですー。」
「は？
いつ、今日だけの恋人契約だなんて言った？
お前にはまだしばらく俺の恋人してもらうよ？」
「っえええええ！？」
「そーゆーワケで
今後もヨロシクね、マイハニー♡」
驚く私の後頭部をぐっと引き寄せ
またも唇を盗まれる。
ほんのちょっと。
チュッて軽いやつ。
「ふはは！
やっぱり可愛いやつめ。」
こ、この人はキス魔だ！
油断するとすぐに唇を奪われる。
っていうか、
恋人契約は継続って
私…
とんでもないことに巻き込まれてるよね！？
この傍若無人なゲス社長に！
.
結局そのまま…
と言うか
騒ぎ立てる私の言うことなんて完全無視で
相葉さんが運転する車の中、社長の隣。
帰りの車中は
行きの車中のように
社長の丸くて子供のような手が
私の手を捉えてニギニギしながら
キラキラ光る夜の街を走り抜けた。
.
…のは、車に乗った直後の記憶。
フカフカのシートに
心地よい揺れ。
悪くない右手の感覚に
すっかり意識が飛んじゃって。
ふっと意識が戻った時には…
「ふぁぁぁ…、ん？
ここ、どこ？」
「ん、起きた？
ここ、俺んち。」
干物女25歳、春。
目を覚ましたら勤め先の社長の家にいましたとさ。
干物一人前、
テイクアウト入りまーす☆
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年3月24日 22時
