干物女、恋愛するってよ。 (ページ32)

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32.いい男はすぐ売れるページ32

事務所に入ると
江呂田部長が早速慌ただしくしている。

「部長、おはようございます。」

「ああ！おはよう、桐島くん！
今日のこと聞いてる？」

「あ、さっき守衛さんから聞きました。」

「そうなんだよ！
さっき突然連絡が来てさ。
とにかく事務所の4Sをしっかりしてからコレ
10部コピーして会議室に並べておいて。
私は工場長と打ち合わせしてくるから。」

「分かりました。」

部長は「忙しい、忙しい！」って
大袈裟に忙しい素振りをして
わざと私の身体にぶつかりながら事務所を後にした。

ぶつかるって言っても
ドン！とかじゃなくて
身体を擦り付けられる感じ。

通称・セクハラの江呂田。

あの人のせいで
何人の女の子が辞めていったか。

まぁ、いつものセクハラだから
これも立派な私のお仕事って軽く受け流し
4Sと言われる事務所の整理整頓を始めた。

そこへ嬉しそうなトリンドルが出勤してきた。

「おはよう！
A、聞いた！？」

「聞いた聞いた。
社長が新プロジェクト用のライン工程能力について自ら現場を見に来るってやつでしょ？
まったく、迷惑甚だしい。」

「迷惑？嘘でしょ？
工場内にいる全ての女性社員が社長の来社に沸いてるのに！？
あ、私は秘書の相葉さんがいいんだけどね♡」

「相葉さん？
え？サトチは？」

「大野さんは手応えないから諦めた。
次よ、次。
早く切り替えないと
いい男はすぐに売れちゃうんだからね！」

ふふーん♪ってピンク色のグロスを塗り直してる。

すごいなトリンドル。
これぞまさしく肉食系女子だ。

それからトリンドルの相葉さん話を聞かされながら事務所と廊下をいつもより綺麗に掃除をして

私は部長に言われた通りコピーを取って会議室へ向かった。