干物女、恋愛するってよ。 (ページ20)

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20.不審者の正体ページ20

ぶちっ

ぶちっ

と草をむしる音。

怖い…。

なにあれ…？

こんな寒い夜中に草むしりとか…。

様子がおかしいのは間違いない。

とにかく私の存在には気づかれないように
この場から立ち去ろう。

そう思って
静かに回れ右をしたところ

カンッ…！
カランカランカラン…

一歩踏み出した所に
よりによって空き缶があって

存在感抜群な音を立ててしまった。

「ん？」

「ひっ！」

もちろん草むしりをしてる人にも気づかれ
こちらに目線を向けた。

ヤバイ殺される！！

とっさに走り出した私。

でも足がもつれてド派手にすっ転ぶ。

「ぎゃあ！！」

ポキンと折れたヒール。

おっふ！トリーバーチぃぃぃ！！

「痛ぁぁ…！」

「大丈夫？」

「ひぃっ！」

パッと振り向くと
草むしり男がすぐ近くに来ていた。

上下ジャージ姿で
手には草の入ったビニール袋。

それにスコップ…。

やっぱり殺される！！

「あれー？
Aじゃん。
どうした、こんな所で？」

ふわん…とした聞き覚えのある声に
その顔を見上げれば

「サ、サトチ！？」

つい数時間前まで
ビシィッとブランドモノのスーツを着こなしていたサトチが
ボロボロな格好をしてヘラヘラと立っていた。