17.お誘い ページ17
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本日は華の金曜日。
定時の時刻を告げる社内メロディが流れると
1日頑張って働いた従業員の皆さまは
ゾロゾロとタイムレコーダーに社員証をかざしていく。
私たちも例に漏れずその波に乗る。
今日はトリンドルと
品質管理部のクリステル(苗字が滝川ってだけで男性なのにクリステル)とその仲間たち数人と飲み会。
可愛いトリンドルと一緒にいれば
工場内の各部署の方々に飲みに連れてって貰えるからやっぱりトリンドルは神様！
タダ酒最高！
でも鼻水が止まらない私は
このままじゃ美味いタダ酒も無駄になると
医務室からアレルギーの薬を貰ってから行こうとしていた。
そこに仕事を終え
本社に帰ろうとしてるサトチと遭遇。
「お疲れ様、サトチ。」
「お、A。帰るとこ？」
今から飲みに行くって答えようとしたら
後ろからトリンドルがハートマークを撒き散らしながらやってきた。
「大野さーん♡」
「えーと、んーと、花子ちゃん。」
「だから違いますって！
花菜です！」
ダメだサトチ！！
覚える気さらさらナイわ！
「今からAとみんなで飲みに行くんですけど
大野さんもどうです？？」
肉食女子は怯むことなく攻撃に出た。
サトチとお酒かぁ…
いいかも。
楽しそう。
人当たりも良いし
工場内の従業員とも仲良くしてるサトチのことだから
オッケーって言うと思ってた。
でも。
トリンドルのお誘いに
明らかに顔を曇らせて…
「いや。行かね。」
それだけ言って
さっさと帰ってしまった。
「あれ？
私…なんか怒らせるようなこと言った？」
「う、ううん…。
でもトリンドルはもう…
花子でいた方がいいんじゃない？」
「そっか……
え、そこ！？」
あまりにも気まずい空気に
無理やり笑う私たち。
あの態度はちょっと…
ショックかも。
用事があるにしろ
飲むメンバーが嫌だったにしろ
分かりやすく嫌そうな顔をして帰ることないのに…。
「トリンドル！
楽しく飲もう！
浴びるように飲もう！」
「うん、そうだね！
クリステルたち待ってるから急ごう！」
忘れよう忘れよう。
なんせ今日は華の金曜日。
お酒で嫌なことは忘れる。
そう思って会社の門を通ると
今朝門で車の中から声を掛けてきたサトチが
私たちの横をそのまま通過していった。
「あ…」
それに気づいた私は
なんだか切ない気持ちになった。
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作者名：ミイチゴ
| 作成日時：2016年2月24日 22時
