いちごとすずらんが咲く頃に

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｢Aちゃーん！｣

遠くから名前を呼ばれ、焦って振り向くと

｢ななもり先輩！！！！｣

ななもり先輩は北海道に出張に行っていたため、会うのは2週間ぶりだ。

私｢2週間ぶりですね！｣
な｢ねー！ちゃんとお土産買ってきたよ？｣

ほら、と私の大好きなロ〇ズの生チョコをチラつかせる。

｢〇イズ！！！！｣
と、飛びつこうとすればななもり先輩が私をやんわりと制しながらニィっと笑った。

な｢Aちゃん、おねだりする時は？｣
私｢なーくん先輩！チョコ！ロイ〇のチョコ食べたいです！！！ください！！！｣

ななもり先輩は入社当初からなにかと私に自分の事をなーくんと呼ばせたがる。
もちろん先輩だからそんな気軽には呼べないけど。

な｢よーしよしよし、あげちゃう！！｣
私｢やったぁー！！｣

もし私が犬だったらきっとしっぽをブンブン振り回している頃だろう。


な｢今日いつものカレー屋さん行かない？｣
私｢カレー…｣

実は昨日のお昼にパワハラ先輩にそのカレー屋さんに連れていかれたばっかりだった。
いつもはななもり先輩と行く場所だけど。

…って、そーいうことか。

いつもは近くのファミレスに連れてくさとみ先輩がわざわざ場所を変えてそこに昨日連れて行ったのはわざとって事か。

今日ななもり先輩が帰ってきてそこに誘うの分かってたんだ…！
きっと2日同じもの食べない事まで想定内ってことか…


私｢ななもり先輩、今日は社食にしませんか？｣
な｢社食？いいよ、じゃあまた今度カレー屋さんいこうね。｣

ななもり先輩は優しいから後輩の私に合わせてくれる。

そして生憎、さとみ先輩は緊急の会議中だから今日は久しぶりにパワハラを受けないで済む。

そんなことを考えながらさとみ先輩と会う前はよく通っていた社食に足を運んだ。


………でも先輩ご飯食べる時間あるのかな…？
なんて柄にもなく無意識に考えてしまった。

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