大海原の小さな島2 ページ22
茂みの中から木の皮と枝を見つけ、小学生の頃の火付け体験を思い出しながら、枝を両手のひらで擦り合わせる。
……全然つかない。木の皮が湿っているのか、俺の力が足りないのか、はたまたその両方なのか。
他にどんな方法があったっけ。虫眼鏡で黒い紙に……いや、そんなものは流石に流れ着いていない。ライターやマッチの類もない。
体力だけがじりじりと減っていく。やばい、死ぬ────薄れゆく意識の中で、俺は懐かしい日々を思い出していた。
体力ゲージが尽きると同時に画面がブラックアウトし、代わりに『GAME OVER』が浮かび上がる。点滅する『RETRY?』をぼんやりと見つめた後、俺はビニールカーテンに手をかけ一気に開いた。
爆発的な光量と音量に圧倒され、ぼうっとしていると肩が叩かれる。
｢お疲れ。結構長かったね｣
ゾンビを撃ちまくるゲームで遊んでいたはずのきゅうちゃんだった。そのゲームは一人用らしく、置いてけぼりをくらってしまった俺は、目に付いた筐体で遊ぶことにしたのだ。ゲームの名前は、確か……
｢『無人島ぶいあーる』かぁ……ゲーセンまで来てねぇ。マゾさんらしい｣
｢誰がマゾや！ん、それなに？｣
｢待つのが暇すぎてとっちゃった｣
かわいいでしょ、と白い犬のぬいぐるみを俺に見せてきた。正直トーマス井上のほうがかわいいと思うけど、曖昧に頷いておく。
｢行こ｣
きゅうちゃんの後をついてゲーセンを出ると、日もとっぷり暮れて外は暗くなっていた。どこかの家が晩御飯の支度をしているのか、カレーの匂いが漂ってきて切ない気分になる。無性に実家が恋しくなった。
居酒屋に着くと、見慣れた顔ぶれはもう揃っていた。ﾀﾗﾁｵの隣に座り、ジョッキを合わせる。動画の再生数だのポケカだの、各々の話題で盛り上がっているところに俺はどんどん突っ込んで行った。
ついつい飲みすぎてしまい、飲み会が終わる頃にはすっかり出来上がってしまった。二軒目行く？ズズどうするよ、もう少ししたら起こそう、なんて声が遠くで聞こえる。
喉乾いた、水飲まなきゃ、そう思って上体を持ち上げようとしたところで視界がブラックアウトした。
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猫 - こういう話大好きなので楽しませてもらいました！ (2019年6月8日 0時) (
レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 連合さん» 違いますよ笑 登場人物も話も私のオリジナルではないので……でも褒めてくれてありがとう (2018年11月16日 21時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - 毎回思うんですが天才ですか？？？ (2018年11月11日 21時) (レス) id: bbfe7f8fa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミカケヒトシ(プロフ) - 326さん» 意見ありがとうございます、こなくて泣いてました。他にコメントがなければその方針でいこうかと思います。あの、違ったら申し訳ないのですが、ロック伝説の方だったりします？ (2018年10月27日 22時) (レス) id: f1553b8c91 (このIDを非表示/違反報告)
326 - 死ネタはネタバレになるのでキャプションに書いてほしいです…楽しみに見てます… (2018年10月27日 21時) (レス) id: c19ba7aeed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミカケヒトシ | 作成日時：2018年8月5日 17時
