はじめからもう一度(ymin) (ページ8)

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山田から付き合おうと提案された次の日から、俺たちの関係はガラリと変わった。

今まで連絡を取ることなんて仕事の話以外なかったのに、山田はマメに取るタイプらしく、今日の仕事はどうだとか、予定はこうだとか連絡を入れてくる。俺も同じ内容を送るようになった。

今まで知ることのなかった山田のことを知れて、少し嬉しい。携帯の通知がなるとはやく反応するようになってしまった。

今日は山田がご飯を作るからと家に誘われている。

山田のマンションの最寄りの駅で降り、１人歩いていると、伊野尾ちゃんと呼ぶ声がした。

「…やまだ？」

「迎えにきたっ」

そう微笑む山田は、キャップを深く被っていても、綺麗な顔立ちは隠せていない。

「あ、ありがとう」

素直にお礼を言う俺の顔はきっと赤い。
仕事でいつも見ているのに、プライベートだから緊張しているのか、恋人という肩書きがそうさせているのか。

隣を歩く山田は今日あった仕事の話をしながら、笑っている。日が沈んで暗くなるなか、俺には山田だけがはっきりクリアに見えた。

このまま山田が好きになってくれたら、幸せだろうなぁ。

そう思っても、心のなかでどこかあきめている自分がいて、ほんの少しだけ切なくなった。