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山田の選んだ個室の和食屋につき、
飲み物だけ先に注文すると
「いきなり本題に入るんだけど」
と、乾杯もすることなく山田が話を切り出した。
「正直、伊野尾ちゃんの気持ちには驚いた。」
「うん。本当ごめん。」
山田の顔が見れない。
テーブルの下に隠している手がずっと震えてる。
「謝んないで!むしろ俺こそごめん!冗談のつもりが傷つける形になったし…それに、今まで俺、伊野尾ちゃんの気持ちに全然気がついてなくて」
「いや、むしろ気づかれたくなかったっていうか、伝えるつもり無かったし…山田は本当になにも悪くないよ」
本当に、山田は悪くない。
この気持ちも消えるまでしっかりしまっておくつもりだった。
「俺てっきり伊野尾ちゃんは女の子が好きなんだと思ってたから…」
「あ、それはそう、合ってる。俺女の子が好き。今まで恋愛対象は女だったし。」
「え?じゃあ…」
「山田がイレギュラーっていうか、特別…。だから俺も戸惑った」
別に男が好きなわけじゃない。
恋愛対象は女だったし、彼女だっていた。
確かに本気で好きだった。
だから、なんで山田を好きになったのか自分でもよく分からなかった。けど、思わず目でおっちゃって、できるだけ話したくて、話せると嬉しくてドキドキする。いつからなんて分からないけど、気づいたらそうなってた。
「俺が、特別…」
山田はそう呟くと、少し考え込むように視線を落とした。
しばらくして、
「1つ提案があるんだけど」
と、山田が口を開いた。
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作者名:雨のち雨 | 作成日時:2024年3月17日 23時