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山田は、人通りの少ない廊下の端で立ち止まった。


「あ、あの、山田…」


「伊野尾ちゃん、今日夜時間ある?」


「え?夜?う、うん」


「じゃあ、仕事終わったら俺とご飯に行こう。店は決めとくから、帰り待ってて」


山田はそう言うと、先にメイクいってくる、と戻っていった。


山田とご飯…今日?え?


頭の整理が出来なくて、山田が立ち去った後も1人廊下にたたずんでいた。




一様プロ。収録は切り替えて挑んだけど、山田の方をなかなか見れなくて一苦労。


「はぁーー…」

疲れた。いつも以上に疲れた。


楽屋のソファーに体を預けてため息をはく。
このまま目をつぶって何も考えずに寝てしまいたい。

そんな願いもむなしく


「伊野尾ちゃん、行こっか」


声に目を開けると、ご丁寧に俺の荷物まで持った山田が目の前に立っていた。


「あ、ごめん。荷物…」


「今日は持たせて。それよりはやく行こ!お腹空いた」


ちょっとした気遣いに、少しソワソワしながら山田の後を追った。

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作者名:雨のち雨 | 作成日時:2024年3月17日 23時

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