はじめからもう一度(ymin) (ページ3)

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仕事に行きたくない。
こんなに行きたくないのは初めて。
山田に会いたくない。
俺をみて嫌な顔されたらどうしよう。

無理、絶対立ち直れねぇ…。

今日に限ってメンバー全員でのバラエティ。
楽屋の前で扉を開けれずにうじうじしてる。

あぁ、だめだ、もう泣きそう。

「入んないの？」

「たかき…おはよ」

一緒入ろう～と、髙木の腕にまとわりつく。
このまま一緒に入って、山田を視界にいれずに、髙木とテキトーに話してよう。

髙木は不思議そうにしてたけど、はいはい、と楽屋の扉を開けた。

「はよ～」「おはよ～」

「お、なに、一緒にきたの？」

「いや、そこで会った」

大ちゃんが座ってたソファーに自然と２人で向う。
大ちゃんが１人で読んでた雑誌を今度は3人で覗き込んだ。

ファッション雑誌だったそれは、大ちゃんも髙木も好きなブランドが乗ってるらしく２人で盛り上がってる。

俺は視線は雑誌にあれど、意識は向かいのソファーにいる山田に向いていて…

話かけないほうがいいよね。
撮影が始まったら普通に絡んで、違和感ないようにしないと。

頭のなかでごちゃごちゃ思考を巡らせる。

山田がソファーから動くのが分かって、目で追いそうになるのを我慢して、雑誌に戻した。

「伊野尾ちゃん、ちょっといい？」

「へ？」

声は俺のすぐ近くからして、顔あげると
俺をみて微笑んでる山田がいた。

「外で話できない？」

「あ、うん」

「じゃあ行こっ」

山田は俺の腕を掴んで、楽屋から出ていく。

今から振られるのかな。
気持ち悪いって言われるかな。
いや、山田はきっとそんなこと言わないか。

俺を引っ張っていく山田の後ろ姿はドラマのワンシーンみたいで、大きな不安を抱えながら、もちょっとドキドキした。