はじめからもう一度(ymin) (ページ18)

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お店に入り、知念は食べたいものをひとしきり食べ終わると、さて…と口を開いた。

「仕事？プライベート？」

「プライベート…」

伊野尾ちゃんの名前は出さず、友達だと思ってた人の好意に気づいたけど嫌じゃなかったこと、お試しで付き合ってみないか提案したこと、その間に好きになっていたこと、勝手に順調だと思ってたら、向こうを傷つけていただけで関係が終わってしまったこと、を話した。

「涼介ってそんなダメ男だったけ？最低だね」

返す言葉もなくて、知念の顔すら見れなかった。

「ずっとしんどかったろうね、その人。涼介のこと好きなら余計に。嬉しくても楽しくても不安と一緒だったろうね。」

黙ったままの俺にあきれたのか、知念からため息が漏れる。

「涼介は泣いちゃダメだよ。泣く前にしなきゃいけないことあるでしょ。」

「ちぃ…俺、取り返しのつかないことした。謝っただけで許されるのかな」

「謝るだけで良いの？」

「え？」

「好きなんでしょ？」

…うん、好き。俺、伊野尾ちゃんが好き。
最低なことして傷つけたのに伊野尾ちゃんが好きなんだ。

「無かったことには出来ないけど、やり直すことはできるんじゃない？」

なり直す…そっか。俺、まだ何も伊野尾ちゃんに言えてない。
今度は真剣に、俺からちゃんと伝えよう。

「…ありがと。俺やってみるわ」

知念は帰り際に

「振られたらまたご飯奢らせてあげる」

そう言って笑った後、頑張れって、背中を押してくれた。