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「伊野尾ちゃん耳真っ赤、俺のこと好きなの?」


仕事の話をしていた伊野尾ちゃんの耳がいつもより赤くて、ただそれをからかってやろうって思っただけだった。

伊野尾ちゃんからは否定の言葉もなく、元々赤くなっていた耳を、さらに赤く染め、顔から首もとまで移っていった。


「え?」


想像していた反応と違ってたから、思わず戸惑いの声が漏れた。


「ごめん。気持ち悪がらせて。気にしないでほしい。明日から普通にするし、山田に何か求めてるわけじゃないし、山田が嫌なら話しかけないし、近づかない。本当にごめん。」


伊野尾ちゃんは早口でそう言うと、その場からいなくなった。

待って、とは言えなかった。

あんなに傷ついた顔をはじめてみた。
俺のせいで泣いてた。

知らなかった伊野尾ちゃんの気持ち。

いつも飄々としている伊野尾ちゃんが、俺のことを好き。
驚きと戸惑いと、ほんの少しの悦。




「え、なにこれ…」




鳴り止まない心臓をぎゅっと手で押さえた。

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作者名:雨のち雨 | 作成日時:2024年3月17日 23時

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