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「お前、味を占めたな」
「へへ、独占できるんだもん」
山田はあれから度々俺の車の前で待ち伏せしてる。
無視もできないから送ってあげるけど。
「このまま伊野尾ちゃんの家行っちゃダメ？」
「ダメ」
ちぇっと窓の外にそっぽを向く山田は
今日も女の子に呼び出されていた。
今は誰とも付き合う気はないって
振っていたらしい山田が
好きな人がいるから、と振り方が
変わったと最近噂になっていた。
たぶんその好きな人が俺。
なかなか俺を諦めてはくれないらしい。
「家に行くのもダメ。休みの日に会うのもダメ」
山田はいじけたように呟く。
「教師と生徒だからね」
「それ言わないで。地味に１番メンタルやられるから」
「事実だもん」
教師と生徒。
魔法の呪文みたいに俺たちの関係を戒める。
「ちょっとも俺のこと好きになんない？」
少し弱々しい声に、心が痛むけど
「うん」
俺は先生だから。ごめんね。
「そ。なら、もっと頑張る」
君は本当に真っ直ぐだね。
「今日もありがとう」
「来週は、待ち伏せしても送らないからね」
「なんで？」
「なんでって、テスト始まるでしょ？勉強しなさい」
うげって顔した山田は毎回欠点ギリギリ組だ。
「ねぇ、テスト頑張ったらご褒美ちょうだい！」
「はぁ？馬鹿言ってないで真面目に勉強しろ」
「デートだめ？」
「だめ。」
「お願い！ねぇ！じゃないと車から降りない！」
こういうところは本当にガキ。
「じゃあ、全教科平均点越えたら」
「越えたら！？」
「俺がよく行くカフェ教えてあげる」
「は？」
「たまたまプライベート会う分は致し方ない」
「…ん？」
「俺が行くカフェ教えてやるから、そこに山田も行ったら偶然俺に会えるかもね！って行ってんの！」
やっと意味が伝わったのか、目を見開いて
キラキラさせると、
「伊野尾ちゃん大好き！」
と飛び付いてきそうな勢いだったので
頭を押さえつけて、はやくでろ。と牽制した。
「俺頑張るから！」
と満面の笑みで車から降りた山田は
今日も俺が見えなくなるまでずっと手を振っていた。
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雨のち雨(プロフ) - こここここさん» 嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)！短編１話だけですが、あげさせていただきました！ (4月7日 12時) (
レス) id: f308a3c4d4 (このIDを非表示/違反報告)
こここここ(プロフ) - こんにちは。このお話大好きです。幸せになってからの二人のその後も読んでみたいです。 (4月7日 7時) (レス) @page14 id: 60de11d6bd (このIDを非表示/違反報告)
雨のち雨(プロフ) - inunekoさん» コメントありがとうございます！そう思っていただけたなら嬉しいです(*^^*)最後までお付き合いくださりありがとうございました！ (3月29日 7時) (レス) id: f308a3c4d4 (このIDを非表示/違反報告)
inuneko(プロフ) - 終わり方素敵すぎます…！2人とも可愛すぎる〜 (3月29日 0時) (レス) @page14 id: 9eb63571d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨のち雨 | 作成日時：2024年3月3日 23時
