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「はい、ココア」


光がテーブルに置いてくれたココアを1口。
仕事で疲れた体に甘さが広がってほっとする。


「これはサービス」


ココアと一緒に置かれた
可愛らしいサイズのチョコケーキ。


「いいの?ありがとう!この前のチョコもおいしかった」


もう店を閉めるらしく、光は俺の目の前に座った。


「でしょ。海外帰りの職人雇ってんの」

「そんなすごい人入ってくれたの?」


知らなかった。通りでこんなに美味しいわけだ。


「口約束してたんだ。帰った来たら雇うって」

「へぇ〜…あ、じゃあ友達?」


友達、かなぁ?と、光は曖昧に返事をする。


「自分が作ったチョコ、褒めてくれたんだって。こいつの好きな人が」


目の前のチョコケーキを指差しながら光は
なんだか優しい目で俺を見る。


「すごいね、それだけで海外までいっちゃうなんて」

「まだ好きだから、自分が作ったお菓子やスイーツ食べて元気になってもらいたいんだって。だから、わざわざ俺の店に来たんだよ」


ケーキを食べながら光の話を聞く。

たしかにこれだけ美味しかったら
元気も出るだろうなぁ。


「あれ?まだ分かんない?」

「なにが?」


光はニヤニヤしたまま俺を見る。


「悔しかったって言ってたよ。5年前、守られるだけでなにもできなかったから」


5年前?


「自分はただのガキで、関係すら始められなくて、迷惑しかかけてなかったって」


それって…


「ねぇ、光…」

「本当は内緒って言われてたの。この町に帰ってきてることも、ここで働いてることも。いのちゃんには良い思い出じゃないだろうからって。…でも、俺はそうじゃないと思ってる」


光は俺の頭をくしゃくしゃと撫でる。


「会いたいでしょ?」


声がでなくて、変わりに頷いて返事をした。
そんな俺を見て光は嬉しそうに笑った。


「裏の駐車場に車があるから、そろそろ着替えてでてくると思う。行っておいで」

「ありがとっ…」



手を振る光を背中に、急いで店をでて裏に回った。

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雨のち雨(プロフ) - こここここさん» 嬉しいコメントありがとうございます(*^^*)!短編1話だけですが、あげさせていただきました! (4月7日 12時) (レス) id: f308a3c4d4 (このIDを非表示/違反報告)
こここここ(プロフ) - こんにちは。このお話大好きです。幸せになってからの二人のその後も読んでみたいです。 (4月7日 7時) (レス) @page14 id: 60de11d6bd (このIDを非表示/違反報告)
雨のち雨(プロフ) - inunekoさん» コメントありがとうございます!そう思っていただけたなら嬉しいです(*^^*)最後までお付き合いくださりありがとうございました! (3月29日 7時) (レス) id: f308a3c4d4 (このIDを非表示/違反報告)
inuneko(プロフ) - 終わり方素敵すぎます…!2人とも可愛すぎる〜 (3月29日 0時) (レス) @page14 id: 9eb63571d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雨のち雨 | 作成日時:2024年3月3日 23時

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