バイト先の好きな人(ymin) (ページ8)

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予定がない伊野尾さんページ8

「クリスマスってお客さん多いんですか？」

カレンダーを見ながら聞いてくる伊野尾さんは、少し髪を短くしていた。形の良い耳が綺麗に見えて可愛い。

「クリスマスは他の店と違って、うちは比較的少ないです。夜はほとんどこられないので、毎年早めにしめてます」

彼女と別れてからも伊野尾さんはバイトを続けてくれている。大学の息抜きにちょうど良いらしい。

辞めたらどうしようと不安だったから、聞いたときは喜びが隠せなかった。

「そっかー。恋人たちのクリスマスだもんなぁ…」

唇を前に突き出してぶすくれた顔をする伊野尾さんが可愛くて、思わず笑みが溢れる。

「伊野尾さんは、クリスマスのバイト終わり空いてますか？」

「、、、嫌味でいってます？」

口をへの時にして、俺をじとーっと睨む伊野尾さんに、違います！違います！と手を左右に振って、慌てて否定した。

「俺も予定無いんで、良かったら飯でもって思って…。男２人でって微妙かもしんないですけど」

そう言うと、ぱぁぁっと顔を輝かせて、ぜひ！と俺の両手を握った。

伊野尾さんに握られた両手から一気に熱が伝わって、心臓がバクバクと鳴る。

あれ？俺こんなにうぶなやつだった？

「山田さん？大丈夫ですか？顔真っ赤です」

今日ちょっと暖房効きすぎですよね！と検討違いなことを言ってる伊野尾さん。

けど、俺は気が動転していて、代謝がいいんですよね！と、訳の分からない返事をした。

「楽しみですね！」

と笑う伊野尾さんに心臓が撃ち抜かれて苦しい。

人生で１番楽しみなクリスマスがやって来る。