君らしく笑って (ymin)

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事務所の人たち一緒に伊野尾ちゃんは警察に被害届を出しにいった。俺も着いていこうとしたら、仕事があるでしょって伊野尾ちゃんに怒られた。

「終わったら、久しぶりにやまちゃんのご飯食べたいから仕事にちゃんと行って、家で俺の帰り待ってて。」

そう笑顔で言われたら、大人しく言うことを聞くしかなかった。

今日は伊野尾ちゃんの好きなものをたくさん並べよう。

魚でも肉でもトマトでも。美味しいデザートも準備して。

伊野尾ちゃんのことを考えながらテキパキと準備していると、事務所から連絡が来た。

無事被害届は受理されたらしい。伊野尾ちゃんの携帯に入っていた恐喝ともとれる留守電やメッセージも証拠として役にたったそうだ。

そして、伊野尾ちゃんが見せられた、自分とそっくりな女の人の写真は、あいつが少し前に付き合っていた元カノのものだったそうで、警察にストーカーの被害相談をしてきたことがあるらしかった。

一通りやることは終わったから、安心して。と言われ、通話が終わった。

ただ、伊野尾ちゃんからはまだ連絡がない。
少しそわそわする。

もうそろそろかなと予想しながらテーブルにお皿を並べていると、インターホンが鳴る。

画面に映っているキノコ頭に笑みを浮かべ、

「はやく帰ってきて」

とボタンを押した。

ガチャと扉をあけると、驚いた顔の伊野尾ちゃん。

「びっくりした。今入ろうと思ってたのに。そんなに俺が待ち遠しかったの？」

やまちゃん可愛い〜と、いたずらっ子のように笑う伊野尾ちゃんに

「うん。」

と素直にうなずけば、伊野尾ちゃんは少し泣きそうになりながら、

「ただいま」

と言った。久しぶりに聞いた伊野尾ちゃんのその言葉が嬉しくて、俺は思わず目の前の体を抱き締めた。

「おかえり！」

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