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#2 ページ36

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ー Side ななもり。 ー





馬鹿だよ、さくちゃん。

本当に馬鹿。




ななもり「...抱きしめてもいい?」

『え?』



さくちゃんは少しびっくりした後、こくんと小さく頷いた。



だからなるべく優しく。
怖がらないように優しく抱きしめる。




もうあのストーカーはいない。
今いるのは俺だけだってわかってほしい。




ななもり「大丈夫。さくちゃんは綺麗だよ。俺には眩しすぎるくらい綺麗」

『...なーくんは優しすぎるね』

ななもり「優しくなんてないよ」




俺だって頭の中は欲の塊。

あのストーカーにキスされたところを上書きしてあげたい、触れられたところを上書きしてあげたい。



そんな欲でいっぱいになってる。






『...消して』

ななもり「え?」

『なーくんならいい。あの人の感触が残ってるのは嫌だよ...』




俺の服をぎゅっと掴む。

俺の思考がバレたような感覚に陥った。




え?声に出してたとかないよね?





『あ、ごめんなさい...。忘れて』



俺がそんなことを考えていると、さくちゃんが慌てて取り消した。





ななもり「さくちゃん、こっち見て?」



取り消しなんてしたくない。

恐る恐る上目遣いで俺を見たさくちゃんに、俺はゆっくりと顔を近づけてキスをした。




唇から心臓の音が伝わるんじゃないかと不安になるくらい、俺の心臓はドキドキしてて。


でも止められなかった。





ぎゅっと震えるさくちゃんの手を握りながら、上書きするように長くキスをしていた。

#3→←☆優しさの裏側



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作者名:ひーりん。 | 作成日時:2019年6月5日 21時

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