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ー Side ななもり。 ー
馬鹿だよ、さくちゃん。
本当に馬鹿。
ななもり「...抱きしめてもいい?」
『え?』
さくちゃんは少しびっくりした後、こくんと小さく頷いた。
だからなるべく優しく。
怖がらないように優しく抱きしめる。
もうあのストーカーはいない。
今いるのは俺だけだってわかってほしい。
ななもり「大丈夫。さくちゃんは綺麗だよ。俺には眩しすぎるくらい綺麗」
『...なーくんは優しすぎるね』
ななもり「優しくなんてないよ」
俺だって頭の中は欲の塊。
あのストーカーにキスされたところを上書きしてあげたい、触れられたところを上書きしてあげたい。
そんな欲でいっぱいになってる。
『...消して』
ななもり「え?」
『なーくんならいい。あの人の感触が残ってるのは嫌だよ...』
俺の服をぎゅっと掴む。
俺の思考がバレたような感覚に陥った。
え?声に出してたとかないよね?
『あ、ごめんなさい...。忘れて』
俺がそんなことを考えていると、さくちゃんが慌てて取り消した。
ななもり「さくちゃん、こっち見て?」
取り消しなんてしたくない。
恐る恐る上目遣いで俺を見たさくちゃんに、俺はゆっくりと顔を近づけてキスをした。
唇から心臓の音が伝わるんじゃないかと不安になるくらい、俺の心臓はドキドキしてて。
でも止められなかった。
ぎゅっと震えるさくちゃんの手を握りながら、上書きするように長くキスをしていた。
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作者名:ひーりん。 | 作成日時:2019年6月5日 21時