幼なじみだからって、簡単に近づけるとは限らないから！

４話目 ページ6

Aside

学校が終わると、私はすぐに教室を飛び出した。

バイトに行かないと。

弟たちの生活費なんかを稼ぐため、私は時間があればシフトを入れてもらっている。

両親の収入は、全部学費なんかで飛んでるだろうしね。

少しでも節約しないといけないので、部活にも入ってない。

中学生の琉生や旬にも部活をさせてあげられてないんだ。

それは本当に申し訳ないなって思ってる。

せめて、私が社会人になる頃には、全員に、好きなことをさせてあげたいな。

なんて考えながら私は走る。

ーーー

『こんにちは！』

バイト先のカフェに勢いよく入る。

笑顔、笑顔！

先輩「Aちゃん、学校おつかれ！ちゃちゃっと着替えて入って！」

『はい！』

店内は、学校終わりの学生で賑わっていた。


スタッフスペースで制服に着替え、店に出る。

先輩「Aちゃん、これ！２番テーブルに。」

『はい、すぐに！』


高校入学と同時に始めたこのバイト。

優しい人たちばっかで本当に良かった。

クラスで生きてくのも大変なのに、バイト先まで息が詰まってたら、それこそ死んじゃうよ。

まぁ、お客さんは良い人ばっかじゃないけど。


客「おい！料理に髪の毛は言ってたんだけど！？どーしてくれるんですか！？」

なんて騒ぎ立てる客もいるし。

こういう客は、私はノータッチでいく。

だって、

先輩「その髪の毛、お客様のでしょ？
うちのスタッフに金髪のスタッフはいませんから。」

うちにはとっても強い先輩がいるんだから！



こんな客よりも、私が一番困る客がいる。

それが、


『いらっしゃいま…せー。』

莉犬「Aっ！来たよ！」

るぅと「制服似合ってますよ！」

ころん「バナナパフェ食べたいなぁ。」

さとみ「あんま騒ぐなよ…」

ジェル「めっちゃ注目されてるで。」

ななもり「来ちゃった！」


こいつらだ。

「来ちゃった！」じゃねーよ！

先輩「あっ！イケメン幼なじみ！」

ななもり「こんにちは、Aの先輩。」

ジェル「いつもお世話になってまーす！」

ニコッと微笑むななジェル。

そのイケメンスマイル、誰にでも振り撒いていいってわけじゃないからね。

『とりあえず、お好きな席へ。』

莉犬「はいはーい！」

てか、部活サボんなよ…


そして、こいつらは気が済むまでここにいるんだ。

『帰れよ…』

さとみ「お客様に向かってんなこと言うなよ。」

マジで意味分かんない。

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