9日目。 ページ10
初めて選択した講義、向かった先の教室には1人の男性。
その後ろ姿を確認して、ぼっちじゃなくて良かったな、とそっと胸を撫で下ろす。
「…？」
背後から強烈な視線を感じて振り返る。
スラリとした手足に整った容姿。暗めの茶髪に、サラサラの髪の毛。そして、黄金色に輝く澄み切った瞳。
こんなに目立つ人、私は1人しか知らない。
彼は、今井春斗くんだ。
春斗くんは入学当時から人気で注目の的だったから、流石の私でも名前は知っていた。
そんな彼と二人っきり。
ファンに殺されるんじゃないか、とか怖い人だったらどうしようとか、そんな気持ちで浮き足立って、その時の講義には1ミリも集中出来なくて。
教授が教室を出る音で、ふと我に返った。
…やってしまった。
文字で埋まり切った黒板とは対照的に私の手元のノートは真っ白だ。
比較的頭のよくない私が講義を聞かない、なんて命取り過ぎる。有り得ない、こんな事今まで無かったのに。
全身から冷や汗が止まらない。心做しか体調も悪いような気がする。
視線を少し上に上げると、長い針が9、短い針が12と1の間を指していた。
遅れを取り戻すなら、今しかない。
腹の虫が鳴いている様な気がしたが、気がするだけだと自分に言い聞かせた。
お昼休憩のこの時間に白紙のノートを埋めなくては。
よし、と意気込んで黒板を見据えた、筈だった。
「…えっと、花崎さん、だっけ？」
一緒に講義を受けた彼が、私に話しかけるまでは。
驚き過ぎて声も出なかった。
彼が私の名前を知ってた事にも驚きだが、まさか話しかけてくれるとは思わなかった。
「初めまして。僕、今井春斗って言います。花崎さんさっきの講義ずっと固まってたから大丈夫かなって思って…大丈夫ですか？具合とか、悪かったり…」
「っえ、いや、あの…」
緊張のせいか、強ばっていた体が声をかけられた衝撃で突然緩んだせいか、手に力が入らない。
あれ、おかしい。こんな筈じゃ。
「体調悪いなら、無理しちゃだめです。」
「今日は送って行きますから、ゆっくり休んで下さい。」
「っ、いい、へいき…」
ぼんやりとする視界は、焦点が合わない。
教室の床が、気持ち悪く歪む。
"私は大丈夫"
いつだって自分にそう言い聞かせて1人でやってきた。
だから、大丈夫な筈だったのに。
動揺する彼の姿がぼんやり視界の端で揺れて間もなく、ぷつり、視界が暗転した。
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チョコ - めっちゃ好きです(( (2020年11月9日 1時) (
レス) id: b8ba54da77 (このIDを非表示/違反報告)
ももんが(プロフ) - めっちゃおもしろいです！いい感じにシリアスだったり、ころちゃんの猿キャラだったり、キュンキュン要素だったり…最高です！！さとみくん推しで見に来たんですがこれはるぅとくんオチめっちゃ気になります…これからも期待してます！ありがとうございます！！ (2020年3月15日 3時) (レス) id: 43039e50b7 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - ゆらさん» 返信遅くなりすみません！表現力が乏しいので分かってもらえるか心配していたので良かったです〜！ ありがとうございます！励みになります (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 愛由さん» 遅くなりすみません！ゲーム上手い組のさとるぅと凄く好きなので贔屓してます笑 読んでくださりありがとうございます。 (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 名前も出されていないのにどのメンバーか分かってしまう私はもはや病気です。。。これからも頑張ってくださいね！ (2020年1月2日 23時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：瑞乃 | 作成日時：2018年12月16日 23時
