26日目。 ページ32
お湯を沸かし、ココアのカップにお湯を注ぐ。
春斗くんはお茶を希望していたが、お疲れのようだからココアを用意した。
甘いものをよく飲んでるから嫌いではないはず。
もし好みじゃなかった時のことも考えて、普通のお茶も用意した。
「春斗くん、持ってきたよ。」
やや急ぎ足でリビングに戻るとある一点を見つめている春斗くんの姿が見えた。
不思議に思った私は彼を覗き込んだ。
「げ」
「おかえり、ありがとうね。」
私の間抜けな声に反応したのか、くるりとこっちを向く春斗くん、と…カウンターに放置された1つの絵。
「この絵、Aちゃんが描いたの?」
彼が食い入るように見つめていたのは、私が描いた絵だった。
「…うん、そうだよ。お母さんが美大行ってて、小さい時から絵には煩くて。気付いたら絵が友達みたいになってたの。」
私の絵を見て、うんうんと頷いたと思えば、キラキラとした瞳を向けてくる彼。
「Aちゃんの絵すっごい好き」
「あ、りがと。」
彼に絵を褒められた事を喜ぶのよりも、私が絵師として活動しているのがバレてしまうのが怖くて、つい挙動不審になってしまった。
何を隠そう、私はTwitterで絵師という物をやっている。Twitterのフォロワーさんは先日1万人を超えた。書きかけの絵には自分のTwitterのユーザー名も記入してあったので、調べればすぐに出てきしまうだろう。
何故描きかけの絵をそのまま放置しておいたのだろうか、数時間前の私を激しく呪った。
「絵柄と何より色使いがすごく好き。見てる人を笑顔にさせる絵だね。
Aちゃんがこの絵に込める気持ちが伝わってくるよ。」
困惑する私を他所に私の絵に対してつらつらと評価をし続ける春斗くん。
「そんな褒め言葉私には勿体ないよ…絵は趣味の範囲だし、 、、でも本当に嬉しい、ありがとう。」
春斗くんの高評価に胸が温かくなって、つい頬が緩んでしまう。表情筋が全く仕事をせず、きっと今の私の顔はゆるゆるだろう。
「Aちゃんの絵、もっと見たい。
昔の絵とかある…?」
「それは流石に恥ずかしいよ、春斗くん…!!」
「ダメなの…?」
「駄目です!」
「そこをなんとか…」
若干上目遣いになりながら必死なおねだりする春斗くんを断り続ける事はや10分。
「…わかった、そこまで言うならいいよ。」
先に折れたのは私だった。
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チョコ - めっちゃ好きです(( (2020年11月9日 1時) (レス) id: b8ba54da77 (このIDを非表示/違反報告)
ももんが(プロフ) - めっちゃおもしろいです!いい感じにシリアスだったり、ころちゃんの猿キャラだったり、キュンキュン要素だったり…最高です!!さとみくん推しで見に来たんですがこれはるぅとくんオチめっちゃ気になります…これからも期待してます!ありがとうございます!! (2020年3月15日 3時) (レス) id: 43039e50b7 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - ゆらさん» 返信遅くなりすみません!表現力が乏しいので分かってもらえるか心配していたので良かったです〜! ありがとうございます!励みになります (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 愛由さん» 遅くなりすみません!ゲーム上手い組のさとるぅと凄く好きなので贔屓してます笑 読んでくださりありがとうございます。 (2020年2月14日 1時) (レス) id: d619556bbc (このIDを非表示/違反報告)
ゆら(プロフ) - 名前も出されていないのにどのメンバーか分かってしまう私はもはや病気です。。。これからも頑張ってくださいね! (2020年1月2日 23時) (レス) id: 7e1be6dd9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑞乃 | 作成日時:2018年12月16日 23時