立花彩の秘密〈完〉

番外編　そんな気がした。 ページ47

「…彩。どうしたの、これ。」

あー、これはほんとに怒っているときの貴和だ。ほんと、どうしよう。



事の発端は私が貴和とのデートに遅れそうになってやむを得ず通った地下街。

まあ、その。なんというか、柄のあまりよろしくない男たちに絡まれ強引に抜け出したわけで。
ちょっと怪我をしてしまった。せっかく可愛い服着てきてのに。血、取れるかな、これ。

なんて現実逃避をしていると、再び降り注ぐ言葉の数々。

「俺、あそこは通らないでって言ったよね。ろくなことがないって。何かあってからじゃ遅いんだよ。」

…注意してなかったのは私だけど怪我したのはあの人たちのせいだし。何もこんなに言わなくても良くない？

かれこれ十分はこの状況だ。

『そんなに言わなくていいじゃん。』

気付けば口からこぼれていた。

気をつけていたのに。

でも、一度決壊したダムはなかなか修復が難しい。

「俺はっ、心配して！」

『私が全面的に悪いわけじゃないし、頭ごなしに叱らないでよ！』

あぁ、ちょっと悲しくなってきたな。

「っ、…悪かった。」


『…今日はもういい。お互い頭を冷やそう。』

なんだかんだ手当をしてくれていた貴和には悪いけど、もうちょっとで泣きそうだから、一回離してほしい。

「っ待て！…ほんとに俺が悪かった。真っ先に心配の声をかけるべきだった。ただ俺が見てない間に何かあったらと思うと先に責め立ててしまった。本当に悪かった。」

こんなときにでも、
この言葉は文にすると「った」の連続で読みにくそうだな
なんて思ってしまう国語脳には感心する。


そんなことはどうでも良くて。

『私も、ごめんなさい。』

意地を張っていると。貴方が崩れ落ちてしまうような気がした。



黒木Side

『そんなに言わなくていいじゃん。』

その言葉についカッとなってしまった。俺はこんなに心配しているのに。まるで一方通行だ。

『私が全面的に悪いわけじゃないし、頭ごなしに叱らないでよ！』

泣きそうな声で訴えてくる彩を見て我に返った。悲しませてどうする。

『今日はもういい。お互い頭を冷やそう。』

なぜ。そんな事言う。


…あぁ、引き止めないと。


このまま手放したら。君はもう戻ってこないような気がした。















しばらく書いていないうちに解像度が下がった気がします、Anginaです。
ほんとにリクエストください。アイデアが枯渇しすぎて笑
更新気ままですがたまに覗いてくださると嬉しいです。

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