どちらかが。【ut】 ページ7
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※よくある何かしないと出られない部屋。
どちらかが死ななければならない設定。
Ver.鬱
──────…
馬鹿みたいな話である。気づいたらここにいた。
どこにも出口のない部屋。
何が壁で、何が扉なのかも分からない真っ白い空間に、これまた真っ白なベッドとソファとローテーブル。テーブルには無造作に刃物、凶器、薬品など、その為だけの道具が置かれている。
狂っていた。服まで真っ白だから、自身たちの体しか色がなくて、少しでも色を保とうとお互いベッドの上でピタリと身体を寄せている。
この部屋から出る条件はどちらかが息絶えること。もう一度言わせてくれ、そんな馬鹿な話があっていいのか。恋人同士をこんなところにぶち込んで一体何がしたい。怒りと恐怖で身体が震えた。
｢...怖い？怖いよな...。｣
『鬱くんこそ...。こんなの狂ってるよね...。』
｢...どうしたらええんやろ...。もう嫌や...。｣
自身の喉が変な音を立てた。冷や汗が止まらない。動悸もする。俺の体調の変化はひたひたと触れた肌から伝わったらしい。
『...大丈夫だよ、落ち着いて。...水でも飲もうか。注いでくるよ。』
Aは優しく俺に毛布をかけ、包み込むように1度抱きしめてから離れていく。こぽり、からん、とグラスに水が注がれる音がした。
『はい。鬱くんは氷、要らないよね。』
｢ありがとう。ごめんな。｣
『ううん、...こんな状況、冷静でいられる方がおかしいよ。...私も、とっても怖い。』
毛布の上から抱きしめられる。Aの手に触れるとびっくりするほど冷たくて、声も震えていて。Aも相当緊張していたようだった。それに安心した。大丈夫、大丈夫。
『...きっと大丈夫だよ。少し寝ようか。1度落ち着こう。そしたら、いい方法見つかるよ。』
｢...せやな。ごめん、起きたらきっと挽回するから。｣
『...うん。期待してる。』
にこりと笑ったその笑みを最後に眺めながら眠りについた。
...かちゃん、と鍵が開いた音で目が覚めた。
何の音もない部屋では、やけに大きく響いて、俺は直ぐに覚醒する。
出られる。嬉しくて、Aを呼んだ。
｢A！鍵が、...、｣
触れた頬が、酷く冷たかった。
妙に冴える頭。視界がローテーブルへ動く。
空になった錠剤が、やたら目立って見えた。
──────…
(からん、という音が、反響する。)
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ちぃ汰。(プロフ) - 雨々さん» ご足労賜り誠にありがとうございます。貴方との出会いはこのシリーズでしたね、拙い私の文章であれど、貴方と繋がるきっかけになれて本当に嬉しいです。一作者としても、一友人としても、精一杯の感謝をここに。 (2021年5月5日 18時) (
レス) id: 66362bbae9 (このIDを非表示/違反報告)
雨々(プロフ) - 好きです。ここまでの執筆本当にお疲れ様でございます。あなたの作品に出会えた事、あなた様に出会えた事。本当に嬉しく思います。ありがとうございました。 (2021年5月3日 9時) (レス) id: 0ec44c6a23 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» 毎度毎度、貴方には本当にお世話になっております。この作品が終えれたのも、貴方のお力添えがあってこそ。こちらこそありがとうございます。続編についてはご期待に添えると良いのですが。御足労痛み入ります。精一杯の感謝を足らぬ言葉でここに。 (2021年4月28日 20時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 最後の最後まで大好きな文をありがとうございます。そしてお疲れ様でした。もしもまた続編がありましたら、是非とも1ファンとして読ませて下さい。ひとまず、本当にお疲れ様でした。 (2021年4月27日 18時) (レス) id: ba4822cc62 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» お気に召して頂けたなら何よりでした。とんでもない、身に余る言葉の数々をありがとうございます。是非またお越しくださいね、お待ちしております。 (2021年2月27日 0時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぃ汰。 | 作成日時：2020年7月3日 0時
