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私の言葉を聞いて、一瞬、男は眉をひそめた。
が、次の瞬間には驚きと困惑に目が見開かれた。
自分の顔に多少飛び散った返り血が頬を伝う。
『本意は豚にその価値など分からぬ、無意味だ。と言った意味なんだがな。最近の豚はダイヤ剣をも使いこなすらしいぞ?…あら、もう聞こえていないようね。』
「…随分失礼なこと言うてくれるな。」
横に捨ておいた屍から緩りと青い剣を抜いた彼は不機嫌そうな
『褒めたつもりなんだけど。』
「もうちょい気いつけや。少し来て欲しい、程度の連絡じゃあ分からへんやろ。侵入されてたならそう言えや。」
『侵入してきたのは貴方を呼んだ後よ、これを読み終わったからエーミールに返して欲しいと頼みたかったのだけれど。…その真っ赤なお手手では無理ね。』
私の言葉を聞くと彼は今度こそ本気で眉をひそめた。
「雑用かい、暇やないんやけど俺も。」
『どうせこの時間まで紙とペンしか持ってなかったんでしょう。』
「持たせようとしてるのも紙の集合体やないか。」
『貴方が普段触る紙は布で綴じられているの?随分と贅沢者なのね。』
「豚が贅沢品持ってて悪かったな。」
軽口の叩き合いが可笑しくてクスクスと笑えば、彼も面白そうに、でも優しく微笑んだ。手に持った引き摺る屍さえなければ、月明かりに微笑む彼は何倍もうつくしかったにちがいない。
「ちなみに俺も火に集まる虫の1匹なん?」
『貴方は豚だと何回言えばいいのよ?』
首筋の傷口をなぞられながら言われたセリフは、私達にとってあまりにも甘かった。
_____…
(真珠を貰って喜べなくとも、お前の価値は知っているつもりや。)
(''女神''とやらに仕える貴方は、本当はもしかして天使かしら?)
イケトンが書きたかったが、文才が足りなかった話。
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ちぃ汰。(プロフ) - 琴葉さん» 毎度のコメントありがとうございます。お待たせ致しましたことお詫び申し上げます。感想もありがとうございます。期待以上の感想を頂けて言葉もありません。続編前向きに検討しておりますのでどうかその時はよしなに。私もあなたのファンでございます。ありがとちゅき() (2020年5月12日 10時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
琴葉(プロフ) - 夜分遅くに失礼致します。更新の方心待ちにしておりました、そして相も変わらず、否それ以上に素晴らしいお話に胸が苦しく、また切なさが込み上げました。良ければ続編をと思いますが作者様の手が動く限りで構いません。私は何時までも貴方様のファンです。とりますき() (2020年5月12日 0時) (レス) id: fea4b79f15 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - つらら@ちゃげっ娘。鬱紺色 逆音さん» とんでもございません、しっかりと寝てましたすいません...。ありがとうございます...。勿体ない言葉...。 (2020年1月28日 8時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
つらら@ちゃげっ娘。鬱紺色 逆音(プロフ) - 夜分遅くに大変失礼でしょうが...これだけ...好きです。 (2020年1月28日 3時) (レス) id: 9e136fef77 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - 夢川さん» いえいえ、全く気にしておりませんのでそんなにお気を使われないでください!感想頂けてとても嬉しいです。星の子一家に一人要りますよね笑 こちらこそリクエストありがとうございました。よろしければまたリクエストしてくださいね。(お仲間でしたか笑) (2019年11月5日 20時) (レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぃ汰。 | 作成日時:2019年10月6日 18時