▽ ページ17
懐から取り出した短剣が弾き飛んだ。
『...何か良からぬコトをお考えの様で。そんな事をしたら私は許しませんよ。
それに、貴方を必要としていらっしゃる人が沢山いらっしゃいます。』
｢俺には、Aが必要や。やから戻ってきて。｣
いつもみたいに口が回らなくて、子供の駄々をこねる様な口調をしてしまった。
それを微笑んで宥める彼女は、宛ら母親か。
『そんなこと、無理だと分かっていながら...私を困らすのが本当にお上手な方ね、生きてる間も、死んでからも...』
｢そんなこと言わんといて、もう困らせへんからさ、いじ、わる、せんから、...｣
止めきれなくなった嗚咽と涙が溢れた。
子供が泣き方を知らないように、不格好にしゃくり上げながら。
いやだいやだ、と精神年齢が下がった言葉を繰り返す。
彼女が包み込んでくれた俺の体が、冷たい空気を纏っていて。
否が応でも、その、非現実性を、知らされて。
頭が急に冷えた。
｢、...A、｣
『私は、貴方を見ております。いつでもお慕い申しております。そんなに悲しまなくとも、貴方が望むならば何時でも現れますとも。』
だから、無邪気に笑ってください。
微笑んだ彼女が邪気そのものな癖に、何を言っているのか。
不思議と穏やかな心地だった。
｢...A、｣
ピュゥ、と吹いた風に瞳を閉じると、頬を伝う雫が落ちる感覚がした。
瞼を上げれば、そこにはもう何もない。
(...そういえば、アイツらは、)
久しく顔を合わせていない彼等が思い出される。
珍しくここ何日か、代わる代わる自分の部屋を尋ねていた。
不器用な彼らなりに、心配してくれていたのかもしれない。
ﾄﾝ｢...オスマン、今日も食えそうにないか？｣
｢...いや、流石にお腹空いたわ、｣
そうか、と言った我らが書記長の声は第一声より幾分明るかったに違いない。
いつの間にか机に置かれていた丸くて可愛らしい花に視線が落ちた。
風に舞いそうなほど儚い、その花を大事に拾い上げる。
農業好きな彼ならばこの花を知っているだろうか。
彼女に似た美しさを持つ、この花の名前を。
___________…
センニチコウ/色褪せぬ愛、不朽
長々書いちゃいましたね。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 95人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちぃ汰。(プロフ) - ミーさん» コメントありがとうございます！ ニヤニヤして頂けて嬉しい限りです笑 見返してみましたが中々乱雑かつ支離滅裂文章でお恥ずかしい限りです汗 現在活動はほぼ行っておりませんが、その言葉は嬉しいです、ありがとうございます！ (2018年2月24日 12時) (
レス) id: 3f437b8d31 (このIDを非表示/違反報告)
ミー(プロフ) - 素敵なお話ばかりで、ニヤニヤしながら読んでしまいました(笑)特にグルさん短編の裏切り者でもが好きです！これからも頑張って下さい(^-^) (2018年2月23日 17時) (携帯から) (レス) id: 750b1e0df3 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - reiponnさん» ほんとありがとうね！ (2017年12月13日 18時) (レス) id: 64d3b538d3 (このIDを非表示/違反報告)
reiponn(プロフ) - ちぃ汰。さん» 私も好き！！ちぃちゃんが元気になってくれてよかったー！いえいえ！私こそ毎日…じゃないけどちぃちゃんと話しててとっても楽しいよ！ありがとう (2017年12月13日 17時) (レス) id: 61a6d8b17c (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ汰。(プロフ) - reiponnさん» もう優しいかよ、まじ好き。真面目にすき。その言葉でホント元気でる！頑張るよ、ありがとう！！ (2017年12月12日 22時) (レス) id: 64d3b538d3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちぃ汰。 | 作成日時：2017年9月14日 21時
