【カレとカノジョ】 (ページ19)

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何の前触れもなく
突然泣き出した彼女に驚きはしたけど

「えっ、、ええ？なんで！？(笑)」

『良かっだねぇぇ〜・・・デビューでぎでぇっ』

「ちょ、、声デカい！(笑)」

『優吾、、頑張っでだもんねぇっ』

その言葉を聞いて、純粋に嬉しかった。

あぁ、そんなふうに思ってくれてたんだって。

本人の口から言われた事はないけど
俺がジャニーズじゃなかったらって思ってたと思う。

まあそれも今だからこそ分かるってだけで
あの頃の俺はそんな余裕も無かった。

正直、何で自分がこんなとこにいるんだろ。
入りたくて入ったわけでもない。
やりたくてやってるわけでもない。

いきなり番組に出さされて
グループ組んで生活も何もかもが変わった。

どっかのタイミングで辞めよう。

最前列で踊って歌ってる奴らのポジションには向いてない。
俺には何も優れたところがない。

この世界でやってく自信すらない。

けど、色んな人に出会って色んな景色を見て
普通じゃ考えられない経験をさせてもらえた。

何より今の仲間に出会えた。

だからこそ、俺はここにいる。

その分、失ったものは大きかったけど得られるものもあった。

寂しい思いをさせてごめん。

我慢ばっかさせてごめん。

気付かなくてごめん。

今更そんな事は言えないから

あの頃の俺を見守ってくれて

「ありがとう」と、言葉にしたけれど

あれからとんでもなく時間が過ぎて

俺達を取り巻く環境は変わってしまった。

簡単に、彼女の手に触れることも出来ない。

その現実に直面した瞬間だった。