【カレとカノジョ】 (ページ18)

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彼がジャニーズだって事は圭介から聞いた。

その頃の私は、テレビに出てる
有名どころしか知らないレベルのジャニーズ無縁女子。

だから、優吾がジャニーズって聞いても
何とも思わなかったし、特に興味も無かったけど

"Jr.なんて、いつ切られてもおかしくない。
呼ばれなくなったら俺は終わりだよ。"

その言葉を聞いて胸が痛くなったのは覚えてる。

同世代よりも早く世界を知ってしまったあなた。

自分じゃどうにも出来ない
辛さや歯痒さを何度も何度も味わったと思う。

だからこそ、一つだけ疑問が浮かび上がった。

【なぜ続けるんだろう】

ただの学生に戻ればサッカーだって出来る。
私達と同じように過ごす事が出来るのに。

どうしてなんだろうって。

「楽しいんだよね」

『楽しい？』

「それに、嫌いじゃない」

『仕事がって事？』

「うん、まあぶっちゃけ仕事は辛いけど俺と同じように頑張ってるヤツもいんだよね」

『・・・・』

「だから、もう少し、、って居てもいいかなって(笑)」

彼の横顔は大人びて見えた・・・けど・・・違った。

【先の見えない未来】

普通に学校行って、普通に進学して
大学に行ってエンジョイするんだ！とか言ってる
クラスメイトをどんな気持ちで見てたんだろう。

不安でどうしようもなかったはずなのに
いつも笑顔で、弱音を吐くこともない。

苦手なダンスと向き合う日々。
学校よりも複雑な人間関係に頭を抱えながら
未来に対する焦りと不安に耐え続ける。

言葉にしなくても分かる。

ずっと見てきたんだから。

いや、正しくは見守るしか出来なかった。

だって、彼が選んだ道だから。

誰も何も言えないでしょ？

けどね、本当は寂しかったんだ。

私には言えないの？話せないの？って。

「余計な心配かけたくないもん」

今思えば、それがサインだったかもしれないのに

私は気付きもしなかった。

結果的に、私達は別々の道を歩み今に至る。

その選択が間違ってなかったとは思うけど・・・・

あの頃と違う寂しさに

どうしたらいいのか分からなかった。