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バイクを飛ばす春千夜の背後で色々なことを考えていた。
みんな捕まったらしい。
そしてイザナが亡くなったと。
それ以上の詳しい話しは教えてくれなかった。
私は何も出来なかった。
家までの道を伝えて送って貰った。
「春千夜はこの後どうするの?」
「……オレの王は只1人だから」
一瞬天竺に一緒に着いてきたムーチョかと思ったが多分違うっぽい。
「そっか。目的が一つなら大丈夫だね」
「お前はまだ関わる気かよ」
「一人で生きれる程強くないから」
私が誰かを選べる程崇高でもない。
「送ってくれてありがとう」
立ち去るバイクを眺めた。
数日後、ココくんと約束したカフェに来た。
「久しぶり」
「監 禁生活から逃れたんだな」
「外から鍵かかってた訳じゃないからいつでも出れたんだけどね」
イザナを一人に出来なかった。
「で、どこまで知りたい?」
「あの日あった事全て」
あんなに近くに居たのに何も知らない自分が歯痒かった。
「佐野万次郎の妹エマが殺された」
ココくんの口から聞いた話には下唇を噛んだ。
エマちゃんとは一度だけバイク屋で見かけただけで殆ど面識は無かった。
とても可愛らしい子で真一郎くんが一方的に凄い可愛がっていたのを覚えている。
それからの流れや顛末を聞き終えた頃にはコーヒーは冷め切っていた。
「……私、あんなに近くに居たのに……」
何も出来なかった。
「イザナはお前を巻き込まないように閉じ込めた」
私は東卍の青宗とも繋がりがあったから。
そして稀咲や半間とは面識は無かったから。
何をきっかけで狙われるかなどわからなかった。
それでも無関係なエマちゃんが狙われるぐらいなら私にして欲しかった。
「……何も出来なかった」
真一郎くんが大切にしていたものも守れずただ檻に入れられてただけ。
「これ以上関わんなって言っても無理だろうな」
「うん」
みんなの顔が見たかった。
お正月にみたみんなの年相応の笑った顔。
「ココくんは青宗くんのとこに戻るの?」
「イヌピーは真っ当な道があってる」
じゃあココくんは?と聞こうと思ったがココくんは空になったカップを捨てて立ち上がった。
「じゃあな」
「また会える?」
「……ツケどんだけ溜まってると思ってんだよ?」
「ちゃんと返す!」
背中を見送った。
〜天竺編完〜
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月華(プロフ) - 寧珠*さん» そんな初期から見てくれてたんですね!ありがたいです。こんな過疎地でねじゅちゃんの目に止まるなんて頑張って良かった!笑 (2022年9月30日 23時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 月華さん» 実は最初から読んでて、お気に入り登録も2人目とかだったような…ねじゅが月華さまの作品を読まないわけには参りません…! (2022年9月30日 19時) (レス) id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 寧珠*さん» コメントありがとうございます!!ねじゅちゃんに読まれてたのにはびっくりだけど気に入って貰えたなら良かった〜!続きもノープランだけど頑張ります!! (2022年9月30日 19時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
寧珠*(プロフ) - 意味があるのかは不明ですが、読む度に評価いれるくらい好きです♡続きが楽しみだ…! (2022年9月30日 11時) (レス) @page42 id: 7da35a518d (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - 咲良さん» わーい!コメントありがとうございます!無理くりイザナと絡めちゃった!ここからヤンデレ始まるか!?全くのノープランです! (2022年9月15日 8時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月華 | 作成日時:2022年8月19日 11時