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27歳[6] ページ23

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「はぁー」



時間の許すかぎりAの家の前で待っていた。



「今日も帰ってこねーのかよ」



九井に調べて貰った新しいAの家。



1〜2時間待って諦めて帰るそんなのが1ヶ月ほど続いた。



もちろん俺も仕事がある為毎日は来れない。



会えない日々にガッカリしてるのかホッとしてるのかわからない。



会いたいが会ったら拒絶されるかもしれない。



そんな不安がずっと消えなかった。



「…帰るか」



しゃがんで伏せたいた顔を上げ立ち上がった。



「…り…りんど…う?」



「……A…」



階段を登るAは驚きの表情で見上げて来た。



「っ!!一度ちゃんと話がしたくてさ」



「……何もないけどうち入る?」



「良いのか?助かる」



人目につかない方がお互いの為。



「本当に何もないけど……」



案内された部屋は布団一式と段ボールしかなかった。



「え?ここ住んで数ヶ月経ったんじゃねぇの?」



若干顔を赤らめ逸らす仕草に不謹慎にも抱きしめたくなった。



「海外行く時に前の家具は処分しちゃって、寝に帰るだけだったから」



仕事に必死で自分の事は後回しなのは変わらないらしい。



無言が続いてしまってなかなか切り出せないでいた。



「あのさ」「えっと」



やっと出た言葉は二人重なってしまった。



また数秒の沈黙の後意を決して口を開いた。



「「ごめんっ!!」」



やっと言えた言葉はまたもや重なった。



「「え?」」



Aに謝られる意味が分からず困惑した。



「竜胆の気持ちを踏み躙ったから…」



「は?俺がお前を裏切ったんじゃん」



「それは私が竜胆の…プ…プロポーズを台無しにしちゃったから」



「お前の仕事を続けたい気持ちも考えないで勝手に突っ走って自滅したくせにヤケになってあんな事した…」



「……うん。竜胆の笑ってる顔久々に見て、隣にいていいのは私なんかじゃないって思った」



「っちがっ!………言い訳してもだせぇだけだな。ごめん」



「私が竜胆から幸せ奪ったんだよ」



「は?」



「竜胆は子供好きだし早くほしいって思ってたでしょ?」



「…なっなんでそれ」



「見てればわかるよ。でも私はまだ仕事に自信持てなくて納得出来るぐらいやれてないから…。だから私じゃなくて他の子との方がって」



「俺はAとの子供が欲しいだけで他の女との子供なんて欲しくねぇよ」






静かに涙を零すAを抱きしめた。

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月華(プロフ) - チヅさん» コメントありがとうございます!楽しんで頂けたなら良かったです!他のお話で気に入って貰えるのがあると良いんですが。 (2022年9月13日 7時) (レス) @page28 id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
チヅ(プロフ) - メチャメチャ楽しかったな〜(^^)他のお話も読んでみようと思います(^^) (2022年9月13日 1時) (レス) id: eeaef92f1e (このIDを非表示/違反報告)
月華(プロフ) - ふらんそわ。さん» コメントありがとうございます。竜胆は子供と肩車似合いそうだなって勝手に妄想しました😁 (2022年4月4日 8時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
ふらんそわ。 - 私も竜胆に肩車してほしーなー…😏 (2022年4月4日 1時) (レス) id: ce685a0196 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:月華 | 作成日時:2022年3月11日 0時

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