11 ページ11
.
絡んでくる女を適当にあしらうのもめんどくさいので最近は昼休みを屋上で過ごしていた。
そのまま帰ろうか午後の授業に出ようか微睡みの中で考えてると屋上の扉が開かれた。
「あれ?灰谷くんが先いた」
「は?何でこんなとこ来てんの?」
相変わらず呑気な声のAに少し苛立ちを感じた。
「屋上って来た事ないから入れるのかな?って」
「変な奴が溜まってたら危ねーだろ」
「灰谷くんがいたね」
「男はみんな危ねーの」
「灰谷くんは私なんかに手を出すほど女に困ってないでしょ?」
そう言いながらAは俺の隣に座ってきた。
もっと男に対して危機感持てよ。
「空が高い。もうすぐ夏だね」
「ん」
「灰谷くんは夏のお祭りとかって行ったりするの?」
「……何年も行ってねぇ」
(蘭ちゃんお祭り行こうよー)
(は?あんな人混みに行って何が楽しいんだよ)
(焼きそば食べたい!かき氷食べたい!)
(食いもんばっか。あんなクソまずい焼きそばの何が良いんだよ。もっと良いとこの連れてってやるよ)
(あそこで花火見ながら食べるのが良いんじゃん)
(それに初めて今年浴衣買ったんだ。蘭ちゃんにそれ見せたいな…)
(とびっきり可愛いくしてこいよ)
(もちろん!!)
「毎年夜は親が心配するからお祭り行けないんだよね。事故にあってから過保護になっちゃって」
「ナンパされるだけだから今年もやめとけ」
「されないよ。あ!でも灰谷くんが護衛してくれても……」
「無理」
「だよねー。今年も浴衣はお蔵入りか。着た記憶のない浴衣が大事に仕舞ってあって、誰と着たのかな?とか気になってるんだよね」
(蘭ちゃん!花火だよ!)
(見りゃあわかる)
(綺麗!!来年も再来年も一緒に見ようね!約束だよ!)
「……うちの家から花火見えるけど」
「本当!?いいなぁ私も見たい!!」
「人混みは無理だけどうちのベランダで勝手に見るだけなら」
「行っていいの?」
「お前の過保護な親が許可だしたらな」
「往復はタクシー使うって言う!」
その前に男の家に来る方を警戒してほしいけどな。
「約束だよ!」
守れなかった約束を一つずつ数える。
いつか約束守ってやったぞって言える日が来るように。
211人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月華(プロフ) - 霧菜さん» 初コメントありがとうございます。霧菜さんに気に入って貰えたなら良かったです。 (2022年5月2日 18時) (レス) id: cb2ce3c237 (このIDを非表示/違反報告)
霧菜 - 最後、泣きそうになりました。神作品です。 (2022年5月2日 17時) (レス) @page39 id: fd52a6e4cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:月華 | 作成日時:2022年2月22日 23時