どれだけ探しても見つからない。 ページ8
クロルside
何で…。
何で…。
俺は守れなかったッ…?
そんな思いが胸の中で込み上げてくる。
…ウルフ様が消えて三日。
ずっと、探しているが見つからない。
……何で？何で？
何で俺の前から姿を消した？
…あの謎の答えもわからないままなのに。
そんな思いの中、俺は人間界を探し回っている。
「おい。そこのお前」
振り返ってみればそこには人間。
だが、異様に妖気を感じる。
「何のようだ」
俺はその人間に尋ねる。
普通の人間ならば、多少なり妖術が使えてもこんなに妖気は持ち合わせていない。
「俺と一緒に姫を探してくれないか」
姫…？
誰のことだろうか。あいにくあまり、俺は妖怪のことに詳しくない。
「誰のことだ」
「鬼族の姫。そういえばわかるだろう？」
鬼族の姫…。
やはりわからない。
俺は黙ってしまう。
「お前は幻光族だ。そして探し人がいる。違うか？」
人間はそう尋ねてきた。
確かに合っている。
俺は幻光族。そして、今ウルフ様を探している。
「あぁ」
俺はそう答える。
「これはお前にとっても、俺にとっても利益のある話だ」
いまいち話の意図がつかめない。
何故鬼族の姫を探すことが俺の利益になるのかがわからないのだ。
「説明してくれないか」
「あぁ、わかった。お前の力を使えば早く姫が見つかる。
姫ならば、すぐお前の探し人を見つけることができる。」
…確かに俺にとって利益はある。
このまま、情報無しにただただ探していてもウルフ様が見つけるわけが無い。
「いいぜ、この俺、クロル。姫探しを手伝おう」
交渉成立だ。
「わかった、宜しく頼む。俺は�犲鯑櫂魯襯筬瓠�もしくは酒呑童子だ」
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