step by step (ページ12)

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NGシーンページ12

みんなが焼きうどんを食べているところへ、見守り自販機の防犯カメラ映像の写真を持っていく。私の3話のシーンとしてはこれぐらいだ。リレーをする高校生たちを追いかけて走り回るシーンも台本を読んでてわくわくしたけれど、残念ながら私は現場にいないので、本放送を待つしかない。

『あ、青葉ちゃんー！どうしたの？なんか用事？』

先に気づくのは伊吹だ。耳がいい伊吹は青葉の足音でわかったんだろう。

『あ、それ俺。ありがとな』

志摩にプリントアウトした写真を渡して青葉の任務は終了。すぐ帰ろうとするがその先に伊吹が回り込んでくる。鼻先に焼きうどんのいい香りがする。…お腹空いたな。

『ちょちょちょ、青葉ちゃんも食べようよ！まだあるし』
『他の仕事もあるんだから困らせんな』
『みんなで食べた方が美味いじゃん』

…あ、まずい。
ぐるる、と音が鳴ったのは次の瞬間だった。これは演技じゃない。本物。
ごまかせるかなと思ったけれど、目の前にある伊吹もとい綾野さんとばっちり目が合ってしまって…だめだった。動揺から思わず両手で顔を覆う。

「…すみませんごめんなさい私です」
「はいカットー」
「あはは、かわいいー」
「ごめんなさい本当に」
「これはNG集で使われるな」
「お腹空いちゃった？ちょっと食べる？」
「すみません、大丈夫です」
「うどん美味いよ？」

私は今日はこれだけなのだ。なのに迷惑をかけてしまって申し訳ない。
もうひとつの現場から流れるようにこっちへやってきて、食事をとる時間がなかったのは事実だけれど、こんなNGを出してしまうなんて。

「あー、次はお腹鳴らしません！」
「よしきた頑張れ」

先輩たちが笑ってくれてまだよかった。次こそは絶対に決めるのだ。