210.守秘 ページ10
*
「俺が見てるから安心してて(笑)」
「はい……」
「周りに愛想はいいけど、そもそも他のやつのこと眼中にないからな〜」
「よかったね〜玲於」
亜嵐くんだけじゃなく智哉さんにも
満面の笑みで顔を覗かれる。
この感じだと変に心配しなくてもいいか……
帰りにAに連絡すると先に帰ってるようで
久々に家にいてもらうことにした。
「おかえりなさい」
「ただいま」
さすがにスーツではなく着替えてきてた。
今日ふたりきりになるのは2回目とはいえ
ここしばらくちゃんと話してなかったからか
緊張感が漂う。
「こっちきたら？てかこっちきて」
「うん……」
Aがそっと隣に座る。
何から話そう、と考えてる間に
先に口を開いたのはAだった。
「色々話してなくてごめんなさい……」
「さっきも言ったけど怒ってないし、謝んの俺の方。ごめん」
勝手にもやもやして距離置いてたのこっちだし
Aは悪くないのに謝らせてしまってるのが
申し訳ないし、やっぱりどこまでも優しくてお人よし……
「嫌われちゃったかな、と思ってた……」
「そんな訳ないじゃん……でもちゃんと連絡返してなくてごめん」
「ううん、大丈夫。忙しいんだろうなって思ってたし」
「いや、絶対お前の方が忙しいって。智哉さんのマネージャーなんて」
「うーん、ちょっとだけ。まだ全部の仕事やってるわけじゃないからね……仮だからちゃんと話してなくてごめんね」
仕事のことで話せない内容があるのは普通だし
そこをとやかく言うつもりはない。
仕事とはいえ男と楽しそうにしてるのを見て
色々気になってしまったのは確かだけど。
「……実はさ、Aが仕事で帰り遅くなるって言ってた日、男とカフェで待ち合わせしてるの見かけて。仕事なんだろうなって分かってたけど、その、なんつーか……嫌だったっていうか……」
Aは隣で俺の話を聞きながら
思い出してるのか目線を上に持っていく。
「一緒にいたの智哉さんのマネージャーでしょ？見た時すぐ気付けなくて」
「あぁ！そう。その日はハチさんに仕事のこと色々教えてもらって……あ、ハチさんっていうのがそのマネージャー。八幡さんって言うんだけど」
*
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2021年1月17日 1時
