198.偽言 ページ48
*
Aの部屋の大きなベッド。
「久々だね」って話しながら一緒に入る。
「最初お見舞い行った時、もしかしたらもう起きないんじゃないかって考えて怖くなってたわ」
「目覚めたら病院で、5日間くらい寝てたって聞かされてよくわかんなくて……階段から落ちたって言われてもどうしてか思い出せないし、来てくれた家族と顔合わせても『この人誰？』ってなって、先生にも色々説明されて……やっと受け入れられたっていうか……」
「Aの方がつらかったな、やっぱり」
「……なんか『思い出さない方がよかったかも』って記憶が戻った後、病室にひとりでいて思ったんだ……目、覚ましたのも……そうだし……」
ふとAの方を見ると目に涙を溜めて
案の定泣きそうになっていて、布団の中で手を握った。
「でもね、玲於くんが優しいから、嘘、つけなくて。つき通せなくて……ダメだった」
「俺のせいか(笑)」
「そう、玲於くんのせい！(笑)」
鼻をすすりながら笑ってるのを見て
こっちまでつられてちょっと泣きそうになる。
「玲於くんにはなんでも見透かされてる気がして、下手なことできないな」
「お前が分かりやすいだけ」
「そうかなぁ」
「そう。まだ子どもだし」
「もう！(笑)」
Aにはそんなこと言っておいて
実際のところ全然分かってなかった。
こういうことがある度に
分かったような気になるけど簡単に崩される。
今回もまんまと嘘に騙されるとこだったし。
「全部思い出してからは知らない人のフリするの疲れちゃって……こっちも悲しくなるの。自分で決めたことなのに。お兄ちゃん怒るだろうな……」
「まぁ全部が嘘ってわけじゃないし、ちゃんと話したら分かってくれるって、きっと」
「玲於くんもごめんね」
「さっき散々聞いたからもういいわそれ」
「じゃあ……ありがとう」
「……ん。そう、それ」
気付いたら隣からは寝息が聞こえてきて
手を握ったまま、照明を消して寝た。
.
翌朝、いつの間に起きたのかAは隣にいなくて
リビングでノートに何かを書いている姿が目に入る。
「はよ。早いね」
「おはよう。病院での生活に慣れて規則正しくなった(笑)」
「それ、なに？」
「日記。入院中暇だったから書いてたの。……また記憶なくなったりしたら困るし、リハビリみたいなもの」
*
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はな*(プロフ) - Miiiiさん» お話読んでいただいてありがとうございます！今後もそういったネタ挟んでいけたらな…と思っております。引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年11月16日 0時) (
レス) id: 27dc132a0b (このIDを非表示/違反報告)
Miiii(プロフ) - 一気に読みました！面白かったです！キスの予約の所ニヤケ転げました。他にも語りたいけどネタバレになるので黙ります。 (2020年11月14日 12時) (レス) id: 35755ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年11月12日 18時
