170.夢中 ページ20
*
お風呂上がってからも少し拗ねてるのか
ただただ眠いだけなのか口数が少ない。
一応話しかけたら返事はしてくれる。
「再来週からツアー始まるからまたしばらくちゃんとは会えないかもだけど」
「うん」
「まぁここには帰ってくるから」
「うん」
「あーそう、ライブ観に来て」
「いいの？」
「智哉さんも来る？」
「お兄ちゃん……前から言っとけば大丈夫じゃないの……」
まだ今日の智哉さんのこと根に持ってんな……(笑)
布団に入るとAはまた小さく欠伸をした。
「ねむ……」
「俺も。寝よ」
「あした、なんじ……？」
「あーいいよ、お前は寝てな。疲れてるだろうし」
「れお……」
「なに？」
その後何も言わなくなったので顔を覗くともう寝ていた。
軽く触れるだけのキスをして肩まで布団を掛けてあげる。
ここのところ会議とかリハとかで毎日忙しいし
Aも仕事しながら引っ越しの準備進めてて
会う時間取れなかったし、一緒に寝るのも久々。
少し会わないうちに
すぐ痩せて小さくなったように感じる。
Aのあどけない寝顔を見ながら寝たら
なんだかはじめての夜を夢に見た。
こんなにも彼女に夢中になって
こんなにも彼女を好きになって
彼女から離れられなくなるなんて
あの夜はまだ思ってもいなかった。
目覚ましが鳴っても全然動かずに
まだ夢の中にいるAを
起こさないように布団を出る。
Aが少しも起きないのは珍しくて少し心配になる。
でも休みなのに起こすのもかわいそうで
家を出る直前まで寝かせておいた。
「A、俺もう出るから」
「ん……あれ……うそ……ごめんホント……」
「いいって。好きなだけうちにいていいし。じゃあね」
「うん……いってらっしゃい。がんばってね」
「ん、いってきます」
頭働いてなさそうだったけど
布団の中からお見送りしてもらった。
.
「引っ越しどうやった？」
「えっ玲於引っ越したの？」
「メンさん、玲於やなくてAちゃん」
「龍友くんそれも知ってんの……」
「だってご飯誘ったらずっと引っ越しの準備で忙しいって断られてもうて」
誘ってたんだ……最近俺も会えてなかったからね……
「お、Aちゃん引っ越ししたん？同じとこ？」
「同じとこ。2つ下の階」
「よかったね、近くなって」
「まぁね」
「Aちゃんライブ来る？」
「多分。お兄さんも来るかもですけど」
「お兄さんなぁ(笑)」
*
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はな*(プロフ) - Miiiiさん» お話読んでいただいてありがとうございます！今後もそういったネタ挟んでいけたらな…と思っております。引き続きお付き合いいただけると嬉しいです！ (2020年11月16日 0時) (
レス) id: 27dc132a0b (このIDを非表示/違反報告)
Miiii(プロフ) - 一気に読みました！面白かったです！キスの予約の所ニヤケ転げました。他にも語りたいけどネタバレになるので黙ります。 (2020年11月14日 12時) (レス) id: 35755ecf0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はな* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ge_hana_/
作成日時：2020年11月12日 18時
