彼女からキスを盗む方法 Ⅲ【Reo】 (ページ40)

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140.氷解ページ40

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「でもなんで田鍋さんに？」

「実は……あずきちゃんのことフってるんです。Aが好きだからって。よく思われてないんですよ……僕も、Aも。きっと僕がAと一緒にいるのが耳に入ったんだと思います」

「じゃあ……Aも脇山あずきから何かしら言われて、別れるなんて言い出したってこと……？」

「僕の推理ではそうです」

Aがそういうのを言えない性格なのを分かってるし
現に田鍋遥にも言っていなかった。
付き合ってるのが誰かでさえも。

「Aと脇山ちゃんって仲いいんだと思ってたんですけど、違うんですか？」

「僕もそう思ってました。だからそこが少し腑に落ちないというか……」

「この前……1ヶ月前くらいにメンバーとスタッフさんも込みで脇山ちゃんと……千夜ちゃんって分かります？」

「分かります」

「みんなで飲んだんですよ。脇山ちゃんから1人遅れてくるって言われてて、それがAでした。驚いたんです。Aも他に誰がいるか聞かされてなかったみたいで」

「わざとその場に呼んだって可能性、ないですか？それ」

そうなると俺に酔ったフリして近付いてきた
千夜ちゃんもグルなんだろう。

「そうっすよね、田鍋さんの話聞いてきっとそうだと思って」

「下手に動くとAもそうですし佐野さんにも何かされてしまうかもしれないんで……それがこわいんです」

龍友くんの読み通り、実は周りで既に色々起こっていた。
Aを助けるとはいえ、俺にできることは……何？

「とにかく、Aを守ってあげられるのは佐野さんしかいません。大事になる前に伝えておかないといけないと思って、今日来ていただいた次第です」

「なんか……すいません色々誤解してたみたいで」

「いいんです、Aが佐野さんと別れるためについた嘘なんですから。……正直想われすぎてて羨ましいですけど(笑)」

「でもまだ好きなんでしょ？」

「今回のことで諦めがつきました。もうAの気持ちが僕に向くことはないのがわかったんで、これからもただの幼馴染です」

はは、と笑い合って「そういえば同い年でしたよね？」と
他にも色々話をしてやっと打ち解けることができた。

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