彼女からキスを盗む方法 Ⅲ【Reo】 (ページ15)

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115.観戦ページ15

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一般客の目にはほとんど触れない
上の方のVIP席に案内される。

「あれ、Aちゃんはどうするの？」

「わたしはこの後も動き回らなきゃいけなくて……試合始まった頃にまた来ますから」

「そっか、残念」

「では後ほど。失礼します」

「Aちゃん忙しそうだね」

「うん。メンさんついてきてくれてよかったっすわ」

「それにしてもこんな素敵な席、いいのかな」

ケータリングも用意されていて至れり尽くせりだ。

スタメンが発表されて、
「4番、センター、田鍋」とコールされる。

Aが戻ってきたのは1回裏。

「おつかれ」

「お疲れ様です」

「こっち来ないの？」

「あんまり前行くと見えるんですよね、そこ」

芸能人や社長などが結構使うので
下から見てても分かる人には分かるらしい。

「もうなんもないの？仕事」

「試合終わるまではとりあえず暇です」

先頭バッターが四球で出塁して盗塁成功。
その後3番がセンターへのヒットを放ち
田鍋遥の第一打席は一死1,3塁のチャンス。

「今日ホームラン見れないかなー」

「調子いいですからね、遥くん」

初球から打ちにいき2球で追い込まれるも
その後ボールが続き、フルカウントに。
ファウルで粘り8球目、レフトへのタイムリーヒット。
1点を先制した。

「さすがだねー」

「さすがです」

ただ相手チームもリーグ2位で3.5ゲーム差。
簡単に負けるチームではないらしい。

5回裏までで1-0のままだった。

「たまたま1回立ち上がり悪かっただけかな……エース対決だし」

「早いね今日」

「割と早いですよね。打てたの1回だけで三者凡退多いですし」

プロ野球の試合は大体3時間ちょっとが平均で
長いと5時間超えることもあるらしい。
「今日は投手戦だよ」とAは言っていた。

試合途中、チアのパフォーマンスが入る。

「やっぱこういうの見ると懐かしい？」

「そうですねー。知ってる人もいますし」

「ここのチームのじゃなかったよね？」

「うん。でも他球団と交流は結構あったから」

「Aちゃん踊ってるの見たいなー」

「もうやりませんから、勘弁してください(笑)」

表舞台に出ないとしても
もう踊ったりする気はないんだろうか。
この話題になるといつも少し悲しそうな顔をするから
なかなか踏み込めない。

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