とあるCAMPの裏側ー16 ページ41
静かに椅子を引いてそのままトレーを持って立ち去ろうとした。
こんな空気耐えられない。早いとこ退散するのが吉だ。
未だ無言のままのヴィル先輩の視線に怯えながらも彼から離れようとした時だった。
「待ちなさい子ジャガ」
唐突な鋭い声に、思わず足を止めてしまう。
「どこへ行くつもり?」
「えっと、その…寮へ戻ろうかと」
背後からひしひしと伝わってくる恐ろしい威圧感。
駄目だ、ここで振り返ってはいけない。そう肌で感じてしまう程私の体は震えだす。
「アンタ、アタシの約束を忘れたとは言わせないわよ」
「い、いえ、ですがあれに対してはまだ返事を…」
ガッ、と右肩を掴まれた瞬間、勢いよく振り向かされる。目の前には美しい笑顔を浮かべたヴィル先輩がいた。
「撮影に協力、してくれるわよね?」
ついでに背後に恐ろしい形相の般若が現れていた。
掴まれた右肩からミシミシと音がする。下手に断れば私の右肩が砕かれる、そんな気がしてならなかった。
あまりの恐怖に声が出ない。
ようやく喉の奥から絞り出した返事といったら―
「…はい」
その一択しかなかった。
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キャンプ最終日の夜―
ス「あーつっかれたー−−…」
「お疲れさまです、スズキくん。どうでしたか?」
ス「あー…まー楽しかったっちゃあ楽しかったかな。初日はテント作って、魚釣って、焼いて食べて寝て、エースや部員が行方不明になって、森のヌシに襲われて、気がついたら木に縛られてて…ホーント濃い3日間だったよ」
「あの、全然伝わらないんですが。途中から不可解な言葉が聞こえたような」
ス「…とまあ色々あったんだが、総合すると…」
「総合すると?」
ス「知力、体力、精神力は必須ってことだ。間違いない」
「すみませんが、本当に何を言っているのか分かりません」
ス「ムッ、そういうAはこの3日間何してたんだよ。どうせ部屋でゴロゴロしてたんだろ?」
「なっ!?違いますよ!私だってこの3日間は結構大変でしたからね」
ス「へーどんな?」
「屋上から飛び降りたり、爆発の中を走ったり、階段から転げ落ちたり、窓ガラスを割って飛び込んだり…本当に怒涛の3日間でした」
ス「いや、何があった!?俺よりも怪しい言葉が飛び交ってたぞ!」
「まあ、色々ありましたが総合すると…」
ス「…総合すると?」
「スタントマンという職業は命がけだと…痛感しました」
ス「ホント何があった!?」
完
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フウカ(プロフ) - ゆうぺぺさん» コメントありがとうございます!また体調にも気を遣って頂き嬉しい限りです。これからも頑張って更新していきます。 (2021年12月3日 23時) (レス) id: 5e636c9530 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうぺぺ - 更新ありがとうございます!また、面白そうなお話ですね、リドルくんがいない中どうなるのか、楽しみです!! 体調にお気をつけて更新頑張ってください (2021年12月3日 19時) (レス) id: 1e7c50770b (このIDを非表示/違反報告)
フウカ(プロフ) - ゆうぺぺさん» コメントありがとうございます。こういった評価を頂いて嬉しい限りです!!これからも頑張ります! (2021年8月9日 15時) (レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうぺぺ - 続編おめでとうございます!!今回の番外編もとても面白かったです!ジェイドさん、、頑張れ!本編の方もとても読みやすく、面白いです!これからも自分のペースで頑張ってください!! (2021年8月8日 19時) (レス) id: cad7fa7d96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フウカ | 作者ホームページ:http naru1
作成日時:2021年7月12日 20時