とあるモブ主人公の受難ー5 ページ22
「まっ…たく。なんてことを後輩に頼んでいるんだ君は!」
目の前には仁王立ちしたリドルの姿。彼の足元には寮生3名が正座していた。
「しかもあんなふしだらな恰好を強要させるなんて…僕は寮長として恥ずかしいよ!」
「オイオイ落ち着けってリドル。ふしだらって言うけどただハグしてるだけだぞ。それのどこがふしだらって…」
「誰のせいでこんなことになったと思っているんだい?」
「イデデ、イデ…」
反省の色を見せない先輩に、リドルは彼の両頬を引きちぎるぐらい抓った。
「君たち2人もだ。いくら先輩の頼みだからとはいえ、嫌なことならはっきりと断ればいい」
「は、はい」
「次から気を付けます」
自分たちに話を振られ、Aとスズキは俯いた表情で頷いた。
まさか部屋に誰かが入ってくることはないだろうと言った矢先にリドルが現れるとは。案の定、彼はパニックになった状態でユニーク魔法が発動。Aたち3人の首元にはずっしりと重みのある首輪がはめられることとなった。
もちろん誤解だと説明はした。説明を理解したことでリドルから首輪は解除されたのだが、そのまま小一時間説教の流れとなった。
「にしても、まさか君がこんなのを描いていたなんて…」
手元のスケッチブックを一枚一枚捲りながらリドルは呟く。心なしか頬も赤い。
「いやーといっても普段はノーマルしか描いてないぞ。今回はBLということで描いてるだけだし」
「の、のーまるに…び、びー、える?」
聞いたことない単語にリドルは首を傾げてしまう。なんて純粋なのだろうか。
「おーっとそういう世界をまだ知らない感じか。純情だねーリドルは。ノーマルっていうのは、ノーマルラブのこと。異性同士の恋愛のことを指すんだよ。で、BLっていうのは…」
先程Aたちに見せてきた冊子をパラパラと捲っていく先輩。
「こういうのだ…」
ドドン、と言わんばかりに見せてきたのは例の見開きページ。
それを見た途端、リドルは硬直してしまう。
幼少の頃から厳しく育てられてきたリドル。常識という範囲の中である程度の知識は持ち合わせていた。もちろん将来のことも見据えて男女の恋愛についてもだ。
だが、彼の目の前には未知の領域が映し出されていた。
これはなんなんだ。
男同士がみだらに抱き合って、キスしてそれから―
「ああああぁぁぁーーー!!??」
ガシャン!!!
ついにキャパオーバーを超えたリドルは、無意識に魔法を発動させてしまうのだった。
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フウカ(プロフ) - ゆうぺぺさん» コメントありがとうございます!また体調にも気を遣って頂き嬉しい限りです。これからも頑張って更新していきます。 (2021年12月3日 23時) (レス) id: 5e636c9530 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうぺぺ - 更新ありがとうございます!また、面白そうなお話ですね、リドルくんがいない中どうなるのか、楽しみです!! 体調にお気をつけて更新頑張ってください (2021年12月3日 19時) (レス) id: 1e7c50770b (このIDを非表示/違反報告)
フウカ(プロフ) - ゆうぺぺさん» コメントありがとうございます。こういった評価を頂いて嬉しい限りです!!これからも頑張ります! (2021年8月9日 15時) (レス) id: 80abe09472 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうぺぺ - 続編おめでとうございます!!今回の番外編もとても面白かったです!ジェイドさん、、頑張れ!本編の方もとても読みやすく、面白いです!これからも自分のペースで頑張ってください!! (2021年8月8日 19時) (レス) id: cad7fa7d96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フウカ | 作者ホームページ:http naru1
作成日時:2021年7月12日 20時