【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ32)

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668話ページ32

「とにかくここから避難しよう！」

座り込んだ私を、ユウくんは無理矢理引っ張っていく。

「待って下さい、迂闊に走っては……」

そう言った矢先に、横から強烈な風圧が襲い掛かってくる。

「危ない!!」

慌てて彼を庇うように身を屈める。辛うじて直撃は免れたものの、次から次へと炎、竜巻、青き炎と上下左右あらゆる方向から襲ってきた。

「走って！」

私の叫びに合わせて一斉に走り出す。
この攻撃は一体どこから……

周囲を見回すと、離れた場所で激しい戦闘が繰り広げられていた。
シュラウド兄弟の攻撃が以前に比べるとさらに増している。

しかしその攻撃にも屈することなくシェーンハイト先輩たちも反撃を行っていた。

強力な攻撃を放ってはいるが、2度の『雷霆の槍』の攻撃を受けたこともあり、怪物は徐々に追い込まれているように感じた。

【うう……兄ちゃん……僕もう……落ち、ちゃう……】

「オルト！」

よろよろと後退る弟を見て、兄の中に一瞬の油断が生じる。
その隙をシェーンハイト先輩は見逃さなかった。

「今よ！」

先輩は片手を前に翳すと、傍らに浮かせていた『雷霆の槍』が起動する。

「『雷霆の槍』で最後の一撃を！」

シェーンハイト先輩が魔力を槍に注ぐと、それに続いて先頭に立っていたハント先輩が叫ぶ。

「狙いは任せておくれ、ロア・ドゥ・ポワゾン！」

そして後方に立っていたエペルくんが笑いながら言った。

「ありったけのパワーでぶっとばしてやる！」

3人それぞれの足元から青紫の気が現れ、渾身の力を込めて『雷霆の槍』へ注がれていく。

「「「はあああああああああああああああ!!!!」」」

血を吐くような叫ぶとともに、眩い閃光が、シュラウド兄弟の体に直撃した。

「【!!!】」

凄まじい雷音が耳を支配する。
槍の光が少しずつくすみ始めていく。
それに合わせてか細い声が『冥府』に響いた。

【もう少し……もうすこし、だっ……たのに……】

バチバチと怪物の体全体に大電流が流れる。
ついに限界を迎えたオルトくんは震えた様子で自身の両手を見つめた。

「ぐぅ……っ、オ、オルト……！」

シュラウド先輩も荒い息を吐きながらなんとかその場に立ち尽くす。
すると、彼の体がみるみるうちに元の姿へと戻っていく。
それはオーバーブロットから解放された証拠だ。

だが、背後からパリン、と硝子が割れる音が響いた。
皆がはっと息を呑む。
その先には身体の至るところが崩れていくオルトくんの姿があった。