656話 ページ20
「ふぅん。今度はタンクと近接アタッカーのコンビか」
またしても厄介なコンビが現れた。だが―
「毎ターン
負ける気はしない。
高を括ったままのイデアの態度に、レオナたちは無意識に苛立ちを覚える。
今まで息の合わないレオナとジャミルだったが、この時だけは満場一致した。
“アイツ、絶対潰す” ―と。
―同時刻。
アーシェングロット先輩たちが撤退したのに合わせて、『冥府』は大きな動きを見せていた。
『雷霆の槍』の攻撃を真っ向から受けたというのに、オルトくんは数十分も経たずして動き出そうとする。
そして地上を目指そうと『タルタロス』の壁をよじ登ろうとしていた。
オルトくんが登るにつれて、激しい揺れが地下全体を襲う。
「まずい……こっちに近付いてくるぞ！」
身の危険を感じたスズキくんは、すぐさまここを離れようと叫ぶ。
それは私も同意見ですが、何処へ避難すればよいのやら。
唯一の避難先とすれば格納庫でしょうが、オルトくんの巨体からして追いつくのも時間の問題だ。
とにかく避難が先決。
一刻も早く格納庫へ避難しようとスズキくんに向かって言った。
「スズキくん、急ぎ格納庫へひ……」
「オイ、あれって……！」
スズキくんが遮るようにして上空を指差す。
彼の指先へつられるように視線を向けると、塔の上空から鉄の塊がこちらへ降下しているのが見えた。
あの機体は紛れもなくリドル寮長たちが乗っていた『チャリオット』である。
まさか、アーシェングロット先輩たちが来たのだろうかと考えたが、スズキくんは意図しない相手の名を呼んだ。
「ジャミル先輩！キングスカラー先輩！」
『チャリオット』に搭乗していたのは、彼と同行していた第2タワーチームのキングスカラー先輩とバイパー先輩だった。
機体が降下するにつれて激しい風圧とけたたましい機械音が襲う。
「スズキ、悪いが俺たちの後ろへ避難してくれ！」
私たちに気付いたバイパー先輩は、『チャリオット』の後ろへ避難しろと大声で呼びかける。
スズキくんはすぐさま「わかりました！」と聞こえるように返事をすると、私をつれて機体の元へと急ぐ。
新たに現れた第2陣営に、シュラウド兄弟は動揺することなく平然と言ってのけた。
「オルト。ここからが正念場だよ」
【うん。本気出してぶっとばしちゃおう！】
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作者名：フウカ | 作者ホームページ：http naru1
作成日時：2024年1月1日 15時
