【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ19)

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655話ページ19

スタッフたちがすぐさま撤退してくれたおかげであっさりとファントムたちを掃討できた。
さて次の相手は―

レオナが視線を下ろそうとした時だ。

ドドン、と激しい地響きが2回続けて襲い掛かってきた。
第6層にいるとはいえ、ここまで振動が伝わってくるとは。
まさか、とレオナが視線を落とした先には怪物のオルトがこちらに向かって『タルタロス』の壁をよじ登ろうとしていた。

「!!オルトが再び『タルタロス』の壁を登り始めた」

しまった、とジャミルが叫ぶ。
アズールたちが撤退したことで今彼らを阻む者は誰もいない。
地下にいるとはいえ、あの巨体が登り続ければ早々に第6層まで辿り着く。

それに、地下付近にはスズキたちが取り残されているはずだ。
イヌイを探すとスズキが告げたため、彼は『チャリオット』に乗らないまま友人の元へと行ってしまった。
アズールの話からしてイヌイたちが同行していないのも確かである。
仮に格納庫へ戻ったとしてもオルトたちが迫りくる方が早いだろう。

ならば、ここで自分たちが食い止めねばならない。
オルトが一歩また一歩と壁をよじ登る中、ジャミルは必死で思考を巡らせる。

まずはスズキたちを救出することが優先。次にシュラウド兄弟の行く手を阻むための足止めだ。
しかし、彼らに近付けば近付くほどリドルと同じ末路を辿ってしまう。

「戦いを長引かせすぎれば、こちらの生気が奪われてしまう……引き際の見極めが肝心ですね」

ぶつぶつと考えを口にするジャミルに、レオナは軽く笑い飛ばして言った。

「はっ。戦う前から引き際ばっかり考えてるから器用貧乏になるんだよ、テメェは」

「うぐっ……」

痛いところを突かれてジャミルは押し黙ってしまう。

「獅子は兎を狩るにも全力を尽くす。ここでアイツらの夢を、砂に変えてやる」

レオナの鋭い眼差しがジャミルを射抜く。まるで捕食者に追い詰められた被捕食者のような気分だ。
思わず恐縮してしまうジャミルだったが、彼の獲物は自分ではない。世界そのものをやり直すと告げた極悪怪物兄弟たちだ。
彼の闘志に感化され、ジャミルは少し間を置いてから力強く返事をした。

「……はい！」

宙を浮いていた『チャリオット』がゆっくりと降下していく。
最初にその存在に気付いたのはイデアだった。
自分たちの元へと降りてくる乗り物に、次は誰が相手かと目を凝らす。
オルトも気付いたのか、伸ばした手を止めて『チャリオット』が降下するのを待った。