【ツイステ】モブなのに、絡んでくるのはなぜ？14 (ページ16)

今日:1 hit、昨日:69 hit、合計:7,281 hit

652話ページ16

やがて槍の魔力は満杯にまで達し、寮長たちは精一杯の声を上げながら槍を発動させる。

「「うおおおおおおお!!!!」」

【「!!!」】

槍の先端から強烈な雷撃がシュラウド兄弟に襲い掛かる。
2人が動揺する間もなく、つんざくような雷撃音と眩しい光が地下を支配した。

【わあああああああ!!!】

「オルト!!!」

兄の方はギリギリ雷撃から免れたようだが、一方の弟は大きいこともあり真正面から受けてしまう。
苦悶の声を上げるオルトくんにシュラウド先輩は混乱する。

愛する弟が傷付けられた。すごく苦しんでいる。どうしてこんな目に合わなくてはいけないんだ。
そんな言葉が彼の表情に現れていたが、やがて先輩の髪色が瞬く間に赤色へと帯びていく。

まさに烈火の如くだ。

「くそ!!!虫けらの分際でよくもオルトを!!!!」

怒りを露わにする一方で、アーシェングロット先輩は攻撃が当たったことに安堵する。

「やった！直撃だ！」

その喜びはこちらにも伝わり、隣にいたスズキくんも同様に「よかった…」と声を上げる。
だが、私はスズキたちのように心から安堵することができなかった。

「待って下さい、どこか様子がおかしいです」

「様子？あの兄弟たちが……」

「違う。寮長が……リドル寮長が！」

視線の先には限界に達したリドル寮長の姿がある。
彼は激しい呼吸を繰り返しながら途切れ途切れに言った。

「はあ、はあ……これで少しは時間が稼げるね」

「ええ―はっ!?」

アーシェングロット先輩の視線がシュラウド兄弟から寮長へと移る。
その瞬間、彼の口から間の抜けた声が出てしまう。

最初に入ったのは薔薇のような赤ではなく、何色にも染まらない白だった。

「リドルさん、あなた髪が……!?」

「え？髪？……なんだ、って……？」

自身の変化に気付いていないのか、寮長は不思議そうに先輩を見上げる。
しかしそれを自覚することもなくリドル寮長は糸が切れたようにその場に倒れ込んでしまった。

「リドルさん！しっかりしてください!!」

アーシェングロット先輩は慌てて寮長を抱き起すが、彼は意識を失ったままだ。
その様子を遠巻きに見ていたシュラウド先輩は冷めた声で言った。

「あーあーあー生きた人間が『冥府(オルト)』に近付きすぎるからだよ」

「な……っ!?」

それはどういうことなのか。
目を見開いたままの先輩に、シュラウド先輩は続ける。